共和党の集会で売られていた「CNNに向かって用を足す人物」のバッジ(筆者撮影)

トランプの宿敵と呼ばれる「CNNのアコスタ記者」とは何者か

「マスコミ叩き」激化の深層

「無礼者!」

「座りなさい。座れ。もう十分だ」

記者会見場の最前列に立つ男性記者を、トランプ大統領は睨みつけながらこう言い放ちました。ホワイトハウスの女性スタッフがつかつかと記者に歩み寄り、マイクを奪おうとしますが、記者は構わず質問を続けます。

「座りなさい!君は無礼者だ」

トランプ大統領に指さされ、非難を受けた記者の名はジム・アコスタ氏(47)。CNNのホワイトハウス報道班を統括する有名記者で、Twitterのフォロワー数は100万人を誇ります。

 

問題の会見は、11月6日に投開票が行われた中間選挙の翌日、7日に行われたもの。ホワイトハウスは、このとき「アコスタ記者が、マイクを回収しようとする女性スタッフに手をあげた」と主張し、彼の入館許可証を剥奪しました。これに対してCNNは13日、トランプ政権を提訴するという強硬な姿勢を見せています。

トランプ大統領はなぜ、アコスタ記者に対してこれほど激怒するのでしょうか。

 

CNNの切り込み隊長

会見の内容を詳しく見てみましょう。まずアコスタ記者は、米国・メキシコ国境を目指して中米から徒歩で北上している移民キャラバンについて「彼らは難民であって、侵略者ではありません。なぜ彼らのことを侵略者と(別の会見で)述べたのですか」と大統領に迫りました。キューバ移民の家庭に生まれたアコスタ記者は、中米の難民に対する思いが人一倍強いことも関係しているのでしょう。

しかし、大統領は質問に答えず、「合法的に入ってきてくれれば歓迎する」などと答えます。この間、先述したように女性スタッフがアコスタ記者のマイクを取り上げようとしましたが、彼はそれに応じず質問を変え、「ロシア疑惑のことは懸念していますか」と問いかけました。

大統領の表情に怒気が一層こもったかと思うと、こうまくし立てました。

「懸念などしていない。でっちあげだからだ。もう十分だろう、マイクを置きなさい。言っておくが、CNNは君のような者を働かせていることを恥じるべきだよ。君は無礼で、とんでもない人間だ」

トランプ大統領は苛立った表情をそのままに、自分を落ち着かせようとするように一旦演台を離れ、壇上を歩き回りました。

実はアコスタ記者は、トランプ大統領、いやトランプ政権にとって「因縁の宿敵」です。大統領がCNNを「フェイクニュースメディア」の筆頭格にあげて批判する背景には、常にこの「CNNの切り込み隊長」であるアコスタ記者との対決がありました。

アコスタ記者(Photo by gettyimages)

実は筆者はつい先日、そのアコスタ記者と偶然会う機会を得ました。