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大手出版社が抱く広告への危機感〜「やって終わり」を変えるために

これからのタイアップ広告の話をしよう

提供:トレジャーデータ株式会社

タイアップ広告、このままでいいのか

「やって終わり」――。そんなタイアップ広告がネット上にあふれている。

いまや年間のネット広告費用の8割近くが運用型広告に割かれる中、タイアップ広告に未来はあるのだろうか。記事というかたちは、メッセージを強く打ち出すことができ、高い効果を見込める、はずである。

しかし、現状はどうか。記事の掲載後、ページビュー(PV)やユニークユーザー(UU)を計測、報告、終了。いまだにそのような実情も多く見受けられる。

講談社「現代ビジネス」は今年、popIn株式会社が開発した家電「popIn Aladdin(ポップイン アラジン)」のタイアップ広告を展開した(参照「ネットで1億円集めた『魔法の家電』が目指すもの」)。

互いにトレジャーデータを導入している現代ビジネスとpopIn社の間で連携し、読了率をはじめとする様々なデータを取得・分析し、広告効果を証明。記事の閲覧後、2ヵ月以上経過してから購入に至った事例を筆頭に、興味深い結果が得られた。

今回、上記記事やこれからの広告についての特別座談会を実施。デジタル広告の新展開を目指す出版社、家電の開発・販売をもおこなう国内最大規模のネイティブ広告プラットフォーム提供会社、世界有数のデータ分析企業――3つの視点から、これからの広告像、タイアップ広告の可能性、データの利用法が見えてくる。

(取材・文/佐藤慶一、写真・三浦咲恵)

左から講談社・松村吏司さん、トレジャーデータ・塚原一喜さん、popIn・西舘亜希子さん

広告をめぐる、ある危機感

「市場規模が小さい、販売単価が安い、やって終わり。そうしたタイアップ広告の現状に危機感を抱いています」

そう切り出したのは、現代ビジネスの広告営業リーダーを務める松村さんだ。「インターネット広告費の大多数を運用型広告が占める一方、タイアップ広告の市場は縮小気味です。クライアントと話し合い、読者層や内容をすり合わせ、記事制作にも多大な労力を割くことで、高い効果もあるはずなんですが……」。

サーチナ、グーグル、フォーエム等を経て現職。現代ビジネスの広告全般を担当し、広告以外のビジネス開発も視野に入れている

かつて広告業界向けの専門誌に8年半ほど在籍していたトレジャーデータの塚原さんもタイアップ広告について問題意識を持っていた。

「広告・イベントの営業から広告商品の開発まで経験しましたが、タイアップ広告については、実施後のレポートにおいてPVとUUを計測するくらいで、数字のフィードバックが乏しいのではないかと思っていました」

「タイアップ広告は、メディアならではの切り口に価値が宿ります。しかし、PVとUUしか見られない現状があることも事実です」

なぜパブリッシャーが一生懸命やっていても儲からないのか? popIn執行役員の西舘さんは、Advertising.comJapan(現OathJapan K.K)にて、パブリッシャー向けにアドネットワークやSSPのセールスに従事していたときにそう感じていたという。

どこに問題があるのか漠然と考えていた頃、popIn代表の程涛(テイ・トウ)さんと出会い、彼が掲げていた「メディアの価値を証明する」という理念に共感したことで、同社への参画を決めた。

「読了率などの指標が読者の消費行動や態度変容とどう関連づけられるのか。今回の取り組みで興味深い結果が出てよかったです」

こうした危機感や問題意識の重なりが、popIn Aladdinのタイアップ広告につながっている。加えて、講談社とpopIn社がトレジャーデータを導入していたことも、奇跡的な座組みの実現に寄与した。

タイアップ広告の新しい価値

「タイアップ広告は、広告主のメッセージをそのまま書くのではなく、メディアならではの切り口に価値が宿る」と塚原さん。「しかし、結果として、PVとUUしか見られない現状があります。タイアップの価値はモノを売る部分にもありますが、市場を作ることに本来の価値があると思っています。その点、今回の取り組みとその結果は、希望のあるものでした」と続ける。

今回のタイアップ広告を展開した現代ビジネスは、4000〜5000字(ときには数万字)のボリュームのある記事を多く掲載している。興味ある記事を没頭して読み込むことで、マインドセットが作られ、高い広告効果も発揮できるのではないか、と松村さんは言う。

現代ビジネスのタイアップ広告は1本200万円(掲載費と制作費込み)。この単価をもっと上げられるのではないか、という課題感も抱えている。「さまざまなデータを広告主さんに活用していただくことで、タイアップの違う価値を提供できたら」(松村さん)。

タイアップ広告を実施する際、クライアントに対してオリエンテーションをおこなう。今回であれば、程さんのpopIn Aladdinに込めたメッセージを、誰にどう伝えるかをすり合わせ、「一緒にいながらも親子のコミュニケーションの機会は減りつつある」という問題意識や開発ストーリーを打ち出した。

記事を掲載したのは、popIn Aladdinの予約段階のこと。誰に売れるかわからない中での発信だったが、結果的に50%以上の読者が記事を読了したことが明らかになった。

「現代ビジネスの場合は、広告制作チームではなく編集部が記事を書きます。そうして客観性を担保した内容が購買に結びつくのかを知りたかったんです」(松村さん)。

popInの西舘さんは今回のタイアップ広告についてこう振り返る。

「これまで広告在庫は持っていましたが、プロダクトの在庫を持つ経験は初めてのことでした。未来顧客のような方々に、どれだけ信頼できる情報を伝えることが重要だと思い、信頼できるパブリッシャーの力を借りることにしました。

また、今回はトレジャーデータさんに入っていただいたことで、記事を読んだ後に態度変容が起きたのかをデータで把握し、次回にどのようなマーケティングができるのかを考えることができました。まだ商品を売り慣れていないため、データがないとマーケティングのやりようがないところがあるのです」(西舘さん)

読了率と消費行動のポジティブな相関関係

松村さんは「タイアップ広告の効果をちゃんと見たのは今回がはじめてでした。狙い通りに、30〜60代の女性が訪問したことで、『読者は選べる』という実感を持てました。現代ビジネスは多岐にわたる分野の記事が掲載されていて、何のメディアなのかわかりづらい面もありましたが、狙った読者に届けられることがデータで明らかになったのは大きいです」と語る。

さらに、「今回は、潜在層にアプローチしましたが、たとえば次回は顕在層を獲得するにはどうすればいいのか。データがあることで、検討できることも増えます」とも。

「やって終わり」の単なるデータ納品ではなく、「こういう読者がいるので、こういう風にディストリビューションしていくといい」といったようなコンサルテーションなどにつなげていくことが、タイアップ広告の新しい価値になるのかもしれない。

西舘さんも「データがあり、次の取り組みが見えてくるのは、クライアントとしてはやりやすいです。どこに報告するにしても、何をしたらいいのか、明確にわかりますから」と賛同する。

今回の取り組みで興味深い結果の一つは、タイアップ広告の初回訪問から76日後にコンバージョンする事例があったことだ。

popIn Aladdinは段階的に価格を上げており、記事掲載時は44,800円、現在は99,800円である。早く購入すれば安く入手できるため、最短のコンバージョンは当日だった。

が、記事を読んでから76日(2ヵ月半)後に購入する人がいた。これが意味することは何か? 端的に、タイアップ広告が長期的なスパンで想起に貢献したと見ることもできる。「やって終わり」ではなく、データを取得・分析することで、さらなる可能性が見えてくる。

popIn Aladdin

総合ビジネス媒体だからこそできること

DMP(データマネジメントプラットフォーム)という言葉がどこか一人歩きしている中、今回の事例のようなことがわかるのは、媒体データとトレジャーデータが連携できているからだ。ちなみに、トレジャーデータは、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)と表現される。

「講談社さんはトレジャーデータの導入を進めていますし、そのことで、単純なタイアップではなく、本質的に広告を売ったりもっと深い取り組みをしたりすることができると考えています。こうした時代には、とくにデータで何を見ていくのがより問われていると思います。

トレジャーデータの場合、最近ではユーザーインターフェースとしてダッシュボードを提供していたりしますが、詳細分析をしようとするとSQLを書かないと分析できない場合があるので、他のサービスとは違いますし、その点で慣れる必要があるでしょう。

しかし、ビジネス感覚を持った広告担当やデータに強い人材がいるメディアでは、データをマーケティングや商品開発に生かすために活用できるのです」(塚原さん)

先述の初回訪問から76日後のコンバージョンは象徴的な結果だが、それ以外にも高読了率の人はランディングページへの遷移率も高いこともわかった。一見、当然のようだが、データが出ることで、広告としての記事を読者に届ける意味を再確認できる。漠然としたものが明らかになることは、見落としがちだが重要なポイントだろう。

また、popIn Aladdinの記事は(通常とは違い)ページネーションなしで掲載した。それは読了率を計測するためだった。

popIn社はレコメンデーションツールとしてのデータを、現代ビジネスはアクセスデータを持っているものの、それぞれ微妙に異なる。今回は読了率を測定したが、次回はpopInのコンテンツタイムシェアを測定するなど、別のコラボレーションのかたちも見えてくる。

こうした結果について、塚原さんは「総合ビジネス媒体だからこそできることがある」と可能性を示す。「この3社にクライアントもう1社を加えると、また新しい取り組みができそうです。自動車であったり、生活用品だったり、多様な商品とタイアップすれば、さらなる深堀りの余地があるのではないでしょうか」。

パートナー企業と長期的な取り組みを

タイアップ広告では通常、たとえば記事掲載後にフェイスブックなどのプラットフォームでブーストすることがよくある。しかし、プラットフォームからは十分にはデータが取れない。

今回のようなトレジャーデータを含めた連携であれば、同じ座組みでも、ディストリビューションを拡大したり、多様なターゲット層それぞれに合うタイアップ広告を配信したりすることができ、新しい広告のあり方を模索できるだろう。

現代ビジネスではトレジャーデータの活用がはじまったばかり。松村さんは「今後は長期的なスパンで一緒に取り組む『パートナー』と呼べるような企業を探して、年間を通した広告展開が実現できたら」と意気込む。

データ活用というと小難しく感じる人もいるかもしれない。しかし、塚原さんは「トレジャーデータ未導入の企業でも、(活用しはじめている)現代ビジネスさんやpopInさんと組めば、新しいタイアップ広告ができます。ぜひ積極的に取り組んでほしい」とメッセージを送る。

タイアップ広告をめぐる3人の視点。危機感の裏側にあるのは、とても大きな可能性だった。

【イベント情報】
トレジャーデータ社は、11月30日(金)にカンファレンス「PLAZMA」
(参加費無料*要登録)をベルサール秋葉原にて開催。大企業やスタートアップのキーパーソンらが、トレジャーデータの先進事例・活用法を語り尽くす。今回のタイアップ広告に関して、「媒体社・広告主から見たDMPを活用したタイアップ記事広告の検証」なるセッションも行われる。 https://plazma.red/akihabara/