米軍訓練候補地問題が決着か…交渉難航していた「あの島」のいま

あとは価格でどこまで歩み寄れるか、だ

「注ぎ込んだ資金は150億円」

米軍普天間基地の辺野古移転に、負けず劣らず長期化しているのが、米空母艦載機の陸上離着陸(FCLP)候補地問題である。

そのFCLP問題が、解決へ向けて動き出した。菅義偉官房長官が指示、官邸主導でかねて「本命」の馬毛島で決まりそうだ。

「ネックは所有者との価格交渉と、抵当権を設定している債権者の整理だった。10月下旬までに双方、メドがついた。国が購入、米軍に提供することになる」(防衛省関係者)

 

馬毛島は、鹿児島県種子島の西方12キロの南シナ海に浮かぶ無人島である。米空母艦載機の離着陸には、高度な技術を要し、「タッチ&ゴー」と呼ばれる訓練が欠かせない。

だが、これには耳をつんざくような騒音が発生するため、地域住民から歓迎されない。したがって人の住む種子島から12キロ離れた無人島の馬毛島は、FCLP訓練にはうってつけだった。

問題は、島の99%を握るタストン・エアーポート(東京都)との交渉が難航したこと。政府=防衛省は、これまで交渉に10年以上の歳月を要している。

タストンは、東京都世田谷区で採石、プラント、建設業などを営む立石建設グループの1社。グループを率いるのは立石勲氏である。95年に、4億円で島を買った立石氏は、「国防の役に立ち、利益にもなる」という観点から、飛行場の建設工事に取りかかる。

まさに私財を投入し、整地を行なって滑走路を建設。上空からは、南北4200メートル、東西2400メートルの滑走路が敷設されているのが見える。もちろん軍用に耐えるには、今後、精緻な作業が必要だが、私企業が、ここまで手掛けた例は過去にない。

ただ、その無理がたたった。立石建設グループは、ピーク時、年商150億円を誇り、羽田空港を始めとする関東の護岸工事、東北の防波堤工事などで実力を発揮するが、その一方でタストンは、負債総額240億円の「何も利益を生み出さない借金まみれの企業」となった。

それが防衛省との交渉で、立石氏が強気を貫く理由となった。本人がインタビューなどで語ったところによれば、「これまでに注ぎ込んだ資金は150億円。従って、それ以下の価格で譲ることはあり得ない」と、いい放つ。