息子が「父親の背中を追いかけない時代」に父子の絆を描くということ

平成30年間で、親子像はこう変わった
本城 雅人

父子関係が変わる時代の人間ドラマ

そんな平成最後の秋、私は『時代』とタイトルを打った父と二人の息子の物語を描きあげた。たまたま自分が経験した新聞社を舞台にしたが、本音を言えば仕事はなんでもよかった。

父がやっていた仕事をたまたま息子二人もやることになった。昔は父子二代、三代が同じ仕事に就くことは当たり前のようにあったことだが、今はそれはあまりないことなので、同じ仕事に就くことは「必然」ではなく、「偶然」でなくてはならない。そこが一番苦労した点である。

父と子の関係性は昭和の時代から大きく変化している。戦後から高度成長期にかけては、父を尊敬し、父の背中を追いかけていくのが当たり前だった。

 

私が生まれた昭和40年以降、日本が豊かになってからは、子供は父親とは違う道を目指し始めた。そして平成はもっとシビアだ。父親の方が「息子はきっと自分みたいな人生を歩みたくないと思ってるだろうな」と遠慮した気持ちでいる(子供にいろんな習い事をさせるのも自分ができなかったことをさせてやりたいとの思いがあるからだ)。

だけど父子関係が昔とは変わってきた時代だからこそ、もし子供が自分と同じ道を歩んでくれたら。そしてやり方は違っていたとしても父親がやりたかったことを息子たちもしてくれていたら……それを知った時の感動は、昔をはるかに超えるはず──そんな物語を描きたかった。

最後に余談になるが、私の記者時代の上司はアルバイトの面接をする時「お母さんが仕事をしてるかどうかだけ聞いといてくれ。そういう子は働くから採用しろ!」と暴言ともとれる指示を残して、面接には出ずに帰ってしまった。

今は女性が結婚、出産後も仕事を続けるのが当たり前だから、子供は父親だけでなく、母親の仕事ぶりも見ている。来るべき次の「時代」、私は母や姉の後ろ姿を追いかけていく小説を書いてみたい。