医者との結婚が「玉の輿」だとは限らない...その実例集

覆面ドクターのないしょ話 第40回
佐々木 次郎 プロフィール

生活費を渡したら、あとは全部自分のもの

3例目。前述のケチケチ整形外科医と似て非なるケースもある。

夫は、私が以前勤めていた病院の院長で、奥様は専業主婦である。この院長も自分で家計を一人で管理していた。ケチ男と異なるのは、そんなにケチらずに奥様にお金を渡していた点だ。

月々に必要な金額を奥様に申告してもらい、その額を院長が生活費(教育費・小遣いを含む)として奥様の口座に振り込んでいた。

奥様に渡す生活費を除いた残りはすべて院長のものだった。管理方法はケチ男と同じでも、その中身は非常に不透明だった。

どれだけ稼いでいるかは決して教えない!

「えっ? それじゃ奥様は、院長が一体いくら稼いでいるのかご存知ないんですか?」 
「知らないよ」
「奥様に知らせなくていいんですか?」
「知らせない方がいいじゃん」
「しかし……」

と言いながら、私は考え込んでしまった。遠い将来のことを考えてみたのだ。

 

「もし院長がお亡くなりになった後、奥様が院長の通帳を発見したら、ヤバいんじゃないでしょうか?」
「どうヤバいの?」
「きっと『こんなに稼いでたのに、あれっぽっちしか生活費を渡さなかったのね!墓を暴いてやる!』と激怒しますよ」
「大丈夫、その時はボク死んでるから」

「夜な夜なチャンネーと遊んでたこともバレますよ」
「次郎ちゃん、『チャンネー』なんて下品な言い方やめてよ」
「院長、外国人パブにも入り浸ってるじゃないですか」
「あのね、僕が通ってるのは『夜の外国語講座』だからね」

「私は心配なんです。中国の伍子胥という人は、最後に仇の墓を暴いて、鞭打ったそうですよ」
「ゴシショって根に持つタイプだね」
「奥様も墓を暴いて院長に鞭打つかもしれないんですよ!」
「スリルあるね」
「こうなるとサスペンスです!」
「大丈夫。死んでりゃ痛くないし。チャンネーにつねられると痛いけどねぇ、ハハハハ」
「院長、『チャンネー』なんて下品な言い方やめましょう」

院長ときたら、大らかなのか呑気なのか。夜も元気で、全く枯れてない。どうりでおでこがツヤツヤしているはずだ。

院長が奥様に鞭を打たれるかと思うと心配で、私はその日一晩中まんじりともしなかった。

翌日、職場の看護師さんにも夫婦の金銭管理について尋ねた。彼女は最近赤ちゃんを産み、夫と3人で幸せに暮らしている。これからまさに予算規模が膨らみ、コンプライアンスが求められるときだ。

「私ですかぁ? 私、ダンナがどんな会社で働いているのか知らないんですぅ」

こっちは財布以前の問題だった。読者の皆様は大丈夫なのでしょうか?