死にたくなったら…哲学が語る、「自殺」の前にまず考えるべきこと

ショーペンハウアー先生の特別授業
石井 徹 プロフィール

例えばオリンピックでよくあったのですが、水泳などで自己ベストを出せば金メダルが取れるのに何故か緊張してメダルどころか準決勝で敗退ということがありました。

外国の選手はというと、無名の選手が自己ベストを更新して下手をしたらレコードで勝っていました。

日本人はオリンピックという超緊張した場面になると(失敗したらどうしよう。みんなガッカリするだろうなあ。日本に帰れないよ)なんて考えてしまい、筋肉も緊張していつもの実力を発揮できないことが多かったのです。

外国人選手は逆に(おい、ここで勝っちゃったらヒーローじゃん。世界記録なんて出しちゃったら歴史に残っちゃうよ)などとポジティブなことしか考えない。こうして無名な外国人選手が勝っちゃっていたのです。

何故そういう風になるのかを研究している学者は当然いるのですが、理由ははっきりしません。文化性ではないかと言われているそうです。

しかし現在はだいぶメンタルトレーニングが発達したのか日本選手もタフになりましたね。ということは何だかの思考方法を変えることができればポジティブになれる可能性があるということです。私もそうなりたいので水泳の平井伯昌コーチに教えを乞いたいのです。

 

絶望の時には周りが見えなくなる

とにかく日本人は真面目過ぎるようです。

深刻な場面に直面すると「空間」と「時間」を考えなくなると思うのです。

まず「空間」についてですが、例えば学校なり会社なりでそんな深刻な事態になると、教室や会社のビル内という狭い空間ばかり意識してします。カメラをロングで引いてみると、何やら教室や会社がちっぽけなところに見えます。

日本にはたくさんの学校もあるし、たくさんの会社もあります。そんなたくさんの世界の中で、小さな「空間」での出来事が自殺まで行ってしまう。

以前、テレビで日本在住のバングラデシュの人が、「食べ物がある、安全な日本で自殺する人がいるのは理解できない」と言っておりました。

そんな説教くせい話は聞きたくねえよとおっしゃる方もいると思いますし、今現在、絶望のどん底の人には、何の慰めにもならないかもしれません。

しかし、教室や会社という小さい空間からアジアまでグッとカメラを引いちゃうと、そうだろうなと思うのです。私も経験がありますが、絶望の時は周りが見えないというか視野狭窄だったのは確かです。

もう一つの「時間」ですが、自殺なんて考える事態だと、ずっとこの絶望の状態が続くと思ってしまいます。

イラスト:伊佐 義勇 

私も60歳近くなって過去を振り返ると、そんなことになった時、異様に気が短くなってもう終わりだと思うことが度々でした。しかし幸い友人たちがいたので慰めてくれました。

時間がたち段々冷静さを取り戻すと、ベストではないけどベターな道が開けてきたと思います。時間が経つことは大切なのです。