死にたくなったら…哲学が語る、「自殺」の前にまず考えるべきこと

ショーペンハウアー先生の特別授業
石井 徹 プロフィール

思春期になると「問い」が生じます。

生きる意味って何だろうとか、自分はこの世で生きる価値があるのだろうか、とか突然色々考えだします。

考えたくなくても脳が勝手に動き出してしまう。もちろん全く考えない人も多くいました。そんなことを考えないほうが幸せなのだと思うのです。

イラスト:伊佐 義勇 

「問い」が生じた子は感受性も強いし、頭がいいのだと思います。彼らが悩みから乗り越えたらすごい人間になると思うのであります。

そういう人は心が強くなっていますから社会に出てもタフに生きていくでしょう。もしかしたら総理大臣になるかもしれないし、孫正義を超える人になっているかもしれない。

「自殺願望」から脱却するのは難しいかもしれません。しかし、座間の事件を考えると実にやりきれない気持ちになるのです。

 

哲学は「自殺」を否定しないが……

そのようなことを考えていたらショーペンハウアーの顔が浮かび、『自殺について』を今回出すべきだと思った次第です。

いきなり原本のショーペンハウアーの『自殺について』を読むと面食らうと思います。最初の方で「自殺を否定しない」と書いてあるのです。昔これを読んだとき、
(えええっ、おい、哲学者だろ。止めねえのかよ)と驚いた記憶があります。

先日、哲学者の苫野一徳准教授に伺いました。哲学的には、自殺は人間の「自由」の最後の選択肢であり、希望が完全に断たれた時、最後の自由(自己選択・自己決定)の行使として、自殺は認められるでしょう、とのことでした。

あれ、ショーペンハウアーだけじゃないんだ。哲学的には、否定できないということになるようです。何か少し悲しくなったのでありますが、苫野准教授は言葉を続けてくれます。

自殺を思いとどまる理由も原理的には1つで、「それが自由の可能性、希望が見つかること」と「全面的な存在承認」だろうという趣旨のことをおっしゃっておりました。

ショーペンハウアーも似たことを言っています。

結局「自殺はいいことないよ。生きたほうがいいよ」と論理を駆使して言っておるのであります。

読み終えた時ちょっと救われたというか、いい気分になるのです。

イラスト:伊佐 義勇 

日本人のネガティヴ思考

若干横道にそれますが、日本人は緊張する場面でネガティブ思考になりがちです。昔、医者の友人と話していて教えくれたのですが、日本人はドーパミンの分泌量が少ないそうです。

ザックリ言うと、緊張したらアドレナリンとドーパンミンが出ますが、日本人はアドレナリン量がドーパミンに比べて多く分泌される傾向があるということです。