CIAの「組織崩壊マニュアル」から読み解く、日本企業のヤバイ悪弊

あなたの会社が非効率な理由が見える
加谷 珪一 プロフィール

大人数で押しかけ、話だけ聞いて帰っていく「奇習」

No2「できるだけ長く「演説」せよ。個人的な経験をふんだんに盛り込み、時折「愛国心」を織り交ぜるとよい」

このマニュアルは、第2次大戦中に作成されたので「愛国心」という言葉が出てきているが、これを「愛社精神」や「我々のサービスはスゴイ」「我が社の技術力」といった話に置き換えれば分かりやすいだろう。

社内で、延々と自分の経験談を語り、愛社精神や自社の技術やサービスのスゴさを連発。なかなか話をやめないという説教上司はいないだろうか。こうした行動は、諜報活動という視点で見れば、確実に組織を崩壊に向かって動かす原動力ということになる。

 

No3「さらなる検討や調査のために大人数の委員会を開催しろ」

しばしば、日本では「会議のための会議」が行われる。何を目的に会議をするのかがはっきりしていなくても、とにかく多くの人が集まって話をすることで、何となく皆が納得した気分になれるからだ。また、日本の組織では「根回し」といって可能な限り多くの人を巻き込んだ方が、逆に仕事がスムーズに進む。

実はお恥ずかしい話、筆者も組織内で仕事をしていた時代には、自分の仕事をスピーディに進めるため、この手法を多用した。おかげで個人の実績を作ることはできたが、組織全体で見れば生産性を著しく下げている。皆がこうした部分最適なやり方を追求してしまうと組織としてはボロボロになってしまうだろう。

大人数を動員するという点では、この話は通常業務にもあてはまるだろう。

日本企業では、1人か2人で済むような案件であっても、なぜか大人数で対応するというケースが多い。それぞれが勝手なことを言うので話はなかなかまとまらず、案件が前に進まない。また「ご挨拶」と称して、相手の会社を大人数で訪問し、ただ質問をしてメモを取って帰るという「奇妙」な風習もある。

日本以外の企業にはこうした習慣はなく、相手が外国企業の場合、かなりの不快感を与えているケースが多い(実際に筆者も相手の会社の担当者から苦情を言われた経験がある)。商談につなげる意思がないにもかかわらず、一方的に面会を求める行為は、日本文化、欧米文化ということ以前に、相手に対して失礼にあたるはずだが、そうした意識は希薄だ。