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CIAの「組織崩壊マニュアル」から読み解く、日本企業のヤバイ悪弊

あなたの会社が非効率な理由が見える

働き方改革は日本企業におけるもっとも重要なテーマとなっているが、十分な成果が得られているとは言い難い。改革がうまく進まないのは、業務プロセスを最適化して生産性を上げるのではなく、非合理的な慣習を残したまま、単に労働時間だけを削減していることが原因である。

こうした動きは最終的には生産そのものを縮小させ、やがては組織の崩壊につながってしまう。インテリジェンス(諜報活動)の世界では、組織を崩壊させる「裏マニュアル」とも呼べる書物があるのだが、今の日本の組織はまさに「裏マニュアル」で描かれた状況に進みつつある。日本の組織が持つ「病理」について探った。

組織はどうなると崩壊するのか?

組織崩壊の「裏マニュアル」というのは、米国の諜報機関であるCIA(中央情報局)の前身であるOSS(戦略諜報局)が作成した「サボタージュマニュアル」のことである。これは諜報活動の一環として、内部から組織を崩壊させる手法をまとめたもので、ここには、組織をダメにする手法が満載となっている。逆の見方をすれば、このマニュアルに書かれている状況を回避できれば、組織の崩壊を防ぐことができる。

サボタージュマニュアルは1944年に作成され、しばらくは機密扱いだったが、近年、情報公開の対象となった。経営学的な示唆が得られることから、しばしばビジネス系のメディアに取り上げられており、日本語の翻訳本も出版されている。CIAのサイトに行けばオリジナルの文書(PDF)も閲覧できる。

 

マニュアルでは、広範囲にわたる破壊活動をカバーしているが、わたしたちの参考になるのは、第5章11項の「組織に対する妨害」だろう。この項目を読むと、日本企業での「あるある」のオンパレードだ。つまり、今の仕事を進め方を変えなければ、日本企業は「崩壊してしまう」と言い換えることができる。

では具体的にマニュアルの中身を見てみよう。

No1「何をする場合でも、定められた手順を守り、簡素化した進め方を許してはならない」

日本企業は外国企業と比較してITを使いこなせていないという指摘は以前から存在するが、その主な理由は、決められた手順を絶対に変更しないからである。

情報システムは本来、もっとも最適な業務プロセスを標準化するために導入すべきものだが、日本では「ハンコを押す」「稟議書で全員の承認を必須とする」といった従来型のムダな業務をすべてシステムに盛り込んでしまい、IT導入後も業務の効率化が進まないという、笑うに笑えない話がゴロゴロしている。

無駄に参加人数の多い会議は日本企業の病理〔PHOTO〕Gettyimages

働き方改革においても、この組織文化は大きな「威力」を発揮している。

生産性を上げるためには、アウトプットは変えずに業務プロセスのムダを省くことで時間を短縮する必要があるが、手順を変えないので、単純に時間だけを削減してしまう企業が多い。

その結果、アウトプットの絶対値が減り、かえって売上高を減らすという本末転倒な状況となっている。中には正社員が残業できないので、わざわざ高いコストを払って外注先に仕事を依託したり、下請け会社に余分なお金を払って業務を依頼しているところすらある。