なぜ中国人は運転中のバス運転手に襲い掛かるのか

頻発する「自己中」事故の実態
北村 豊 プロフィール

単純に分析はできないけれど…

どうしてこの種の事件の発生が多いのか。

こらえ性がなくなった老人が停留所を乗り過ごした自分の過失を棚上げして、前後の見境なしにひたすら下車を要求することは有り得る話かもしれないが、重慶万州路線バス長江墜落事故の犯人は48歳の女性であり、老人ではなかった。上述した北京の例も犯人の鄧某は57歳の女性で、老人とは言えない。

そうだとすれば、この種の事件が多発する原因は何なのか。

単純に言える話ではないと思うが、中国人は日本人に比べて自己主張が強く、思い込んだら一歩も引かない意固地な所がある。

バスで降りるはずの停留所を乗り過ごして、慌ててバスを降りようと思ったら、事の善悪はともかくとして、バスの運転手を自分の意のままに従わせようとするのである。

日本人ならバスの運転手に文句を言うのが関の山で、実力行使に出て運転手からハンドル操作を奪うなどということはあり得ない話だが、中国人の場合は、「俺は客なのだから、自分が降りたい所でバスを停車させて何が悪いのか」という身勝手な考えを正当化する傾向があるように感じるのである。

 

その根本にあるのは、「自分さえ良ければ、他人がどうなっても良い」という自己中心的な考え方である。

つまり中国人同士は、お互いの自己中心的な発想のバランスの上に立って社会生活を営んでいるのである。

自己中心的な発想の下で、自己主張を行っただけなのに、まさか自分のエゴを通した結果として、バスと共に長江へ墜落して命を落とすとは、劉桂平は考えもしなかったはずであろうが。