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なぜ中国人は運転中のバス運転手に襲い掛かるのか

頻発する「自己中」事故の実態

大惨事、重慶路線バス長江墜落事故

重慶市万州区にある「万州長江二橋」は全長1149メートル、幅20.5メートルのつり橋で、4車線の道路が通っている。

万州区は重慶市の市街区から東北に370キロメートル離れているが、重慶市では市街区に次ぐ175万人の人口を擁す重要地域であり、区内を縦断して流れる長江の両岸を結ぶ唯一の橋が万州長江二橋なのである。

2018年10月28日の午前10時8分、万州長江二橋を走行していた重慶市万州区の22号路線バス(ナンバープレート:渝F27085)が、突然対向車線に進入すると、前方から走って来た赤色の小型乗用車と衝突し、その直後に橋の欄干を突き破って60メートル下の長江へ墜落した。

 

60メートルと言えば、ビルの20階建ての高さに相当する。それほどの高さから大型の路線バスが長江へ墜落したのだから、その衝撃は大きく、バスの乗客の生命に関わる重大事故である。

事故発生を知った北京の中国共産党中央委員会と中国政府国務院は事態を重視し、重慶市政府に対してバスならびに乗客の引き上げを全力で行うよう指示した。

一方、重慶市公安局は次のような「事故通報」を発表した。すなわち、「重慶市万州区において1台の大型バスが万州長江二橋の上で小型乗用車と衝突した直後に長江へ墜落した。重慶市および万州区の共産党委員会ならびに政府は事態を重視し、公安、海事など関係部門を緊急で組織して全力を挙げて捜索と救助に当たっている。事故原因は現在調査中である」。

当初、重慶市公安局は万州長江二橋を逆走して来た小型乗用車が22号路線バスと衝突し、その反動でバスが橋の欄干を突き破って墜落したものと考え、フロント部分を大破して路肩に止まっていた乗用車を運転していた女性を拘束した。

その後、女性は万州区の中西医結合医院へ送られて負傷の治療を受けたが、事故の調査が進むうちに女性の運転には問題がなかったことが判明し、10月30日には釈放されて帰宅を許された。

それはさておき、事故発生からさほど経たないうちに、重慶市と万州区によって組織された捜索・救援チームが事故現場へ投入され、墜落したバスの捜索を開始した。

サルベージ船に装備されているマルチビームソナーで捜索した結果、水中に長さ11メートル、幅3メートルの物体が、万州長江二橋から上流に28メートル離れた、水深71メートルの場所に沈んでいることが判明した。

「これこそ、墜落した路線バスに違いない」。翌29日朝6時の時点では、約70艘の救援船、3隻のクレーン船(60トン、40トン、20トン)、15人の潜水作業員が集合して作業体制を整えていたが、水深71メートルがもたらす巨大な水圧と低水温が現場の作業を困難なものとし、バスの引き上げ作業は遅々として進展しなかった。

10月31日午前0時50分に潜水作業員が水中のバスの中から運行状況を記録したブラックボックスを回収し、31日の21時31分から23時45分まで2時間14分かけてクレーン船によるバス車体の引き上げが行われて成功した。

ブラックボックスの解析から、バスの乗客は運転手を含めて15人と推定されたが、11月1日午後までに事故で犠牲となった13人の遺体が引き上げられ、彼ら全員の身元が確認された。残る失踪者2人については、捜索・救援チームが懸命の捜索を継続しているが、長江を漂流している可能性が高い。