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「夢の新薬」と言われても、オプジーボに期待しすぎてはいけない

効果のある患者は限られている

過剰な期待は禁物

オプジーボの登場直後、免疫チェックポイント阻害薬は「夢の新薬」と呼ばれ、高い期待を集めた。しかし、結論から言うと効果のある患者は限られている。

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前回の記事<本庶佑教授が22年かけて実用化したオプジーポ開発の「苦節」>の中で紹介したが、免疫チェックポイント阻害薬は現在、京都大学高等研究院の本庶佑(ほんじょ・たすく)特別教授(76)と小野薬品工業が開発した「オプジーボ」と、その後開発された4薬が発売されている。

「イミフィンジ」、「テセントリク」、「キイトルーダ」、「バベンチオ」の計5薬である。

今回はこれらの薬の効果はどれほどのものなのか、保険適応の承認を得るための臨床試験(治験とも言われる)は今、どのようなものが行われているのかをお伝えしたい。

 

がんの新薬の有効性については、その新薬が登場するまで最適だと考えられていた薬と比べ、生存期間をどれだけ延長したかで評価するのが最も科学的な手法となっている。

ただ、同時に臨床試験では薬でがんがどの程度小さくなったかも評価している。これはがんの大きさが治療前よりも30%以上縮小した患者割合「奏効率」と呼ばれる指標である。

この奏効率をざっとまとめると、悪性黒色腫で約4割、非小細胞肺がんと悪性胸膜中皮腫が約3割、腎細胞がん、頭頸部がん、尿路上皮がんが2割強、胃がんが1割強、古典的ホジキンリンパ腫が8割弱、メルケル細胞がんが7割弱。

ホジキンリンパ腫やメルケル細胞がんを除けば、投与しても効かない人の方が現実には多いというやや残酷な結果である。

こうした奏効率の差はがん細胞の特性によると言われている。というのも、がん細胞と一言で言っても、発生し始める臓器などや患者個々人の遺伝子の特性などによって性質にかなりの違いがあることが常識だからだ。

キイトルーダの場合、非小細胞肺がんでは予め患者の肺がん細胞を採取して、そこにPD-L1が存在することを検査で確認してから投与が始まるが、それはこうした患者の方が効果がより高いことが過去の研究から分かっているからだ。

だが、この検査でPD-L1が確認できない患者の一部でも一定の有効性があることも分かっており、効果を確実に予測できると言い切れない。このため現在、免疫チェックポイント阻害薬が有効な患者を予め予測できる指標を巡って様々な研究が進んでいる。