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自動車業界に波紋!マツダの「新・人材採用法」が画期的すぎるワケ

技術者向けの教育内容をすべてオープン

AI(人工知能)時代の本格的な到来を迎え、産業界ではディープラーニングなどいわゆるソフトウエアの最先端の知識・スキルをもったエンジニアの争奪戦が起こると言われている。

自動車産業も自動運転の開発ではAIとクルマの融合が重要になり、クルマはますますソフトウエアの塊になるだろう。

こうした中でマツダが、これまで日本企業では類を見ないような画期的なエンジニア採用システムを今年から導入した。

 

マツダが手を組んだシリコンバレーの最先端教育企業

その概要は、マツダが求めるエンジニア像、技術の水準を、オンライン教育会社である米シリコンバレーのユダシティに開示して共同で教育プログラムを開発、その教育を受けた人材を採用していくというもの。人材のミスマッチを防ぎ、即戦力を採用する狙いがある。

マツダ向け教育プログラムを開発するユダシティは、2011年にグーグルで自動運転担当役員を務めていたセバスチャン・スラン氏が独立してシリコンバレーで創業したスタートアップ企業。スラン氏はスタンフォード大学でAIを研究する教授だったが、グーグルに転じたことでも知られる。

グローバルに見ても、現在の大学などの教育機関が提供する人材の質・量と、技術革新が激しい産業界が求める要求には大きなかい離があり、「スキルギャップ」が生じつつある。そのスキルギャップの橋渡しや、インターネットがあればどこでもハイレベルな教育を受けることができる「教育の民主化」を企業理念に掲げている。

セバスチャン・スラン氏〔photo〕gettyimages

ユダシティの現在の社員は500人以上、2017年の収益は約7000万ドル。ユダシティでは最先端のAI、ロボティクス、サイバーセキュリティー、データーサイエンス、プログラミングなどのオンラインで学べるコンテンツを提供し、世界で約1000万人が会員登録している。

一例を挙げると、同社が提供する自動運転のカリキュラムでは、最初のターム(前期)では「コンピュータービジョン」、「ディープラーニング」、「センサーフュージョン」などを学ぶ。

次のターム(後期)では「ローカライゼーション(自車位置測定)」、「パスプランニング(走行経路探索)」、「コントロール(車両制御)」、「システムインテグレーション」など。英語で講義が進むので、TOEIC600点以上、線形代数学、物理、プログラミングの基礎知識が必要になるという。

6ヵ月程度の受講期間中に試験で評定され、合格すれば「ナノディグリー(小さな学位)」と呼ばれる修了書が渡される。受講料は2400ドルだ。ナノディグリーは同社が商標権を持つ。現在、ナノディグリープログラム(有料コンテンツ)で学んでいる人は世界に約5万人在籍している。卒業生も約5万人いるという。