確定申告の奇妙な案内…国税庁はマイナンバーカードを見限ったか

IDとパスワードでOKになるらしい

このペースでは、普及は難しい

今年7月1日現在、マイナンバーカードの交付枚数は1467万2462枚。全人口1億2770万人に対して、交付率はわずかに11.5%である(総務省発表)。

地域別の内訳を見てみると、特別区が15.3%、政令指定都市が12.4%、市が11.0%、町村が9.5%。これは、「都市部ほどICTの理解度が高い」というより、「地方はまだまだICTより人間関係」ということを示しているのではないかと思う。いずれにしても、普及しているとは言いがたい。

 

同じく総務省によると、マイナンバーカードの申請・交付数は毎日およそ1万件(枚)とのこと。このペースがずっと続くとすれば、労働力人口(15歳以上で労働する能力と意思をもつ者)6556万人に行きわたるには、5089日、つまり約14年かかる計算だ。

14年も経てば、団塊世代の多くが鬼籍に入る。その頃、日本はスピードアップした人口減少の真っただ中で、未曾有の「多死社会」に政府が四苦八苦する中、マイナンバーの用途は戸籍や相続に軸足を移しているかもしれない。

一方で、外国人労働者や外国人留学生の受け入れ拡大は既定路線。「住民登録をすれば国籍を問わずマイナンバーが付与され、マイナンバーカードが交付される」という原則は、外国人の不法滞在や人種差別を解消する一助になる、のかもしれない。

しかしいずれにしても、現在のところ、マイナンバーとマイナンバーカードは多くの国民にとって「なくては困る」ようなものでは全くない。これは読者の皆さんもそう思うだろう。

では今回、国税庁が打ち出した方針はどの程度のインパクトを持っているのだろうか。

調べてみると、平成29年分の所得税の確定申告は2197万7000件。そのうち65.3%にあたる1434万2000人が、「ICTを利用した所得税等の確定申告書の提出人」、つまり「e-Tax」の利用者だ(以下、数値は国税庁調べ)。

確定申告全体の件数は対前年度比で1.3%増であるのに対して、ICT利用件数は7.4%増なので、e-Taxの利用は確実に広がっている。さらに細かく内訳をみると、税務署に来署して署員の協力を得ながらのe-Tax利用が419万1000件で2.1%減、自宅のパソコンやタブレットでの利用が9.4%増の928万9000件と大きく伸びている。

自宅からe-Taxを使っている、928万9000人の内訳を見よう。申告の方法は、「各種ソフト+e-Tax」が402万3000人(利用者全体の43.3%)、「国税庁HP確定申告書作成コーナー+e-Tax」が61万5000人(同6.6%)「国税庁HP確定申告書作成コーナー+書面」が465万人(同50.1%)だ。

確定申告の申告手段の内訳(国税庁)

このなかで、今回の封書が送付されたのは、3番目の「国税庁HP確定申告書作成コーナー+書面」465万人ということになる。