遺産相続の「得する、損する」のウソ・ホント…これが「正解」だ!

ルールが激変する前に知るべきこと
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父が死亡、母も長くない。そんな場合は…

父が亡くなった。だが残された母の老い先も長くなさそうな場合、面倒を避けて一気に子どもが相続するケースは多い。

しかし、母にいったん遺産相続させるのが、一般的には一番得する

妻が持つ「配偶者控除」を利用すれば、2次相続の際に無税にできる場合が多いからだ。

「夫の資産が7000万円程度で、子どもが1人の場合は、まず基礎控除4200万円と母の配偶者控除を利用して、相続税を160万円に抑えることができます。

また、母親がすぐに亡くなっても、2次相続で母親からの相続分3500万円は基礎控除の枠内になり、無税です」(曽根氏)

逆に、一括で子どもが相続してしまうと単純に計算して320万円の相続税がかかる。

配偶者控除と基礎控除を利用することで税額を抑えることができるわけだ。

ただし遺産が多額の場合は、この方法だと2次相続で逆に損することがある。

「1次相続で配偶者控除を満額利用しようと、母親が資産の2分の1ギリギリまでを相続すると、2次相続の資産が多くなり、逆に相続税を多く支払うことになりかねません。

賃貸アパートなど収益性を伴う資産がある場合も、母が相続すると資産が増え、2次相続での相続税が高くなることがあるため、子どもが相続したほうがいい。

2次相続時までのトータルの税額を比較しながら、遺産分割を進めたほうがお得です」(税理士・岡野雄志氏)

 

亡くなった父親の年金が相続できる

勘違いしている人が多いが、故人の未支給年金は、遺産としては相続できない

ただし遺族の中で受け取り人の優先順位が決まっており、「遺族の一時所得」として、所得税がかかることになる。

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年金は亡くなった日のその月まで受給することができる。たとえ10月1日に亡くなっても、10月分の年金は満額支給される。これを受け取ることができるのは誰なのか。

「配偶者、子、父母、孫、祖父母、きょうだい、三親等以内の親族の順で請求できる優先順位が決まっています。大事な要素は生計を同じくしているかどうかということ。

最も優先順位が高くなる可能性があるのは配偶者で、続いて同居していたり、介護していたりする子になります」(岡野氏)

年金の支給が2ヵ月ごとということも注意したい。

年金支給日は偶数月の15日だ。たとえば先の例で父親が10月1日に亡くなり、15日の年金受取日前に父親の口座が凍結されてしまえば、8月分と9月分の年金が受け取れない場合がある。だが、これも10月分と同様、遺族が請求すれば、もらうことができる。

ただし、もし口座が凍結されずに、父親の口座に振り込まれていた場合でも、請求が必要になるので注意が必要だ。請求を怠れば、返納しなければならないこともある。

なお、夫が亡くなった後に妻がもらえる遺族年金は、「事実婚の相手も受給できることがある」(吉澤氏)。「連名の郵便物」などで内縁関係が証明できる場合だ。遺産を妻が相続し、遺族年金は愛人が受け取った例もある。