在日米陸軍HPより

なぜか新司令部を設置…相模原の米軍「巨大補給基地」を巡る謎の動き

駅前の一等地が分断され続ける

米陸軍は神奈川県相模原市の兵站基地「相模総合補給廠」に弾道ミサイル防衛のための「第38防空砲兵旅団司令部」を発足させた。既存の在日米陸軍の部隊を指揮下に収め、グアム島の高高度地対空迎撃ミサイル「THAAD」の部隊も指揮下に置く方針という。

しかし、分からないのは、なぜ今、新司令部を相模総合補給廠に置く必要があるのかという点である。必然性が見当たらないのだ。

 

なぜかハワイからやってきた「新司令部」

相模総合補給廠はJR相模原駅の北口に面する一等地ながら、ほとんど使われておらず、ほぼ休眠状態。一部用地の返還や日米共同使用が始まっている。相模原市はさらなる用地の返還を求めているため、「『基地は有効活用している。これ以上は返せない』という米軍側の意思表示なのではないのか」との見方も出ている。

10月31日には、在日米陸軍司令部が置かれている神奈川県座間市と相模原市にまたがる「キャンプ座間」で、第38防空砲兵旅団司令部の編制式があった。在日米陸軍司令官のビエット・ルオン少将は「38旅団は米軍と自衛隊の即応力向上だけでなく、日本国内の砲兵部隊の防空能力を高める」と訓示した。

第38防空砲兵旅団司令部編制式(在日米陸軍フェイスブックより)

在日米陸軍によると、第38防空砲兵旅団司令部は「第10ミサイル防衛中隊」(青森・車力通信所)、「第14ミサイル防衛中隊」(京都・経ヶ岬通信所)という弾道ミサイル探知のためのXバンドレーダー部隊と、地対空迎撃ミサイル「PAC3」を運用する「第1防空砲兵連隊第1大隊」(沖縄・嘉手納基地)を指揮下に置く。

だが、車力通信所と嘉手納基地のPAC3部隊はともに2006年、経ヶ岬通信所は2014年に新規編制されている。これら3個の部隊をまとめる司令部はこれまでなかったのだろうか。

在日米陸軍によると、「これらの部隊は、これまでハワイにある『第94陸軍防空ミサイル防衛コマンド」の隷下部隊だった」という。するとハワイの司令部でコト足りていたのだ。

なぜ、あらためて日本に司令部を置く必要があったのか。在日米陸軍は「日本防衛のため、自衛隊との共同の取り組みをさらに緊密にする」と発表しているが、この説明は疑わしい。

なぜなら、米国ではPAC3を陸軍が運用するのに対し、日本では航空自衛隊が運用しているからだ。米陸軍のカウンターパートは陸上自衛隊であり、航空自衛隊のカウンターパートは米空軍だ。米陸軍と航空自衛隊による「共同の取り組み」は想定されていない。

現に航空自衛隊関係者は「米陸軍とは直接、連携していない」と断言。「司令部機能はハワイでも、日本でも変わりないはず」と話し、今更ながらの新司令部発足に戸惑いを隠さない。