セブン銀行社長が語る 「新しい銀行」はこうして儲ける!

「おつり投資」もスタート
山下 知志 プロフィール

セブン銀行で「リアルおつり投資」が利用できる

──来年2月から「リアルおつり投資」プロジェクトの実証実験がはじまります。これはどのようなプロジェクトなのでしょうか。

舟竹:セブン銀行のATMは硬貨を扱っていません。紙幣のみの入出金だけです。実は、お客様からは硬貨は使えないのかというお問い合わせを以前からいただいていました。その問題意識はずっとあったのですが、では、ATMでいざ硬貨を扱おうとすると、異物が混入したり、硬貨が詰まったりして、どうしても故障が増えてしまうのです。そのようなこともあって、硬貨の取り扱いには慎重になり、なかなか手をつけられずにいました。

そこにセブン・ラボが立ち上がった。まずはニーズがあるのかを試そうということで、硬貨専用の端末をつくり、社内実証実験で、電子マネーチャージ専用で硬貨の取り扱いをはじめました。そのときにTORANOTECからの「おつり投資」の話があったのです。

 

2016年にTORANOTECに出資したのですが、その理由は、まず「おつり投資」という名前がよかったことがあげられます。コンビニをベースとしたセブン&アイ・ホールディングスグループとしても、「おつり投資」は合致するものでした。また、貯蓄から投資へという世の中の流れにも沿っていました。発想が非常にユニークだったことで、TORANOTECが創業して半年も経たないうちに出資を決めました。

「おつり投資」アプリのトラノコは、5円から1円刻みで投資できるという仕組みですが、買い物で生じたおつりやポケットの小銭を投資に回し、TORANOTECの資産運用子会社がお客様から預かったお金を運用するというものです。硬貨の取り扱いということで、親和性もあり、社内実証実験に使っていた硬貨専用端末を、トラノコアプリにも連動させようという仕組みです。

──「おつり投資」は、セブン銀行にとってどのようなメリットがあり、どのように収益に結びつけるのでしょうか。

舟竹:セブン銀行のビジネスという形ではなく、グループ全体で考えることもできます。設置したいというお店があればそこに置く。その結果、集客効果があがればそれだけでプラスです。あるいは、設置料を払ってもいいから置きたいということがあれば、私たちは設置料を頂戴するといったことも考えられます。

おつりが投資に回り、それが運用される。信託報酬の一部をTORANOTECとわれわれ設置業者との間でわけるといったやり方もあります。あるいは、お客様が手数料を支払ってもいいということになれば、それも収益に結びつく。いまは手探り状態ですが、実証実験を通じて、いろいろな方法を探っていきたいと思います。

──おつりを投資に結びつけるというビジネスモデルは、将来、セブン銀行が金融商品を扱うことにもつながりますか。

舟竹:運用に関しては、私自身はあまり考えていません。運用の世界に入るには、いまいる人たちとは異なる人材が必要になりますし、リスク管理などの体制面も整えなければなりません。それに、すでにお客様の資産を運用する会社はたくさんある。そこに、あえてセブン銀行が進出しても、独自性がありません。

──最後に、2年後、3年後のセブン銀行はどんな姿になっていますか。

舟竹:全体のATMマーケットは小さくなっていくかもしれませんが、ATMはなくならないでしょう。ナンバーワンプレイヤーであり続けたいと思っています。自社でATMを設置することをやめる銀行も出てくると思いますが、それは私たちが代替する。社会インフラとして、しっかり地歩を固めていかなければならないと思っています。

現在、セブン銀行のATMは約2万4000台以上ありますが、いずれ3万台くらいになっているかもしれません。私たちは、そのチャンネルを使って、デジタル決済、キャッシュレス化時代に合わせて、新しい認証、情報収集などの端末として、新規のサービスを提供していきたい。

いま第4世代のATMを開発して、来年度から順次導入する計画です。新しいATMは、カメラを使った顔認証ができるようにすべく検討中です。顔認証が可能になれば、同じATMで免許証やパスポートの写真をスキャニングして、本人確認も可能になります。これを何らかの形で有効利用できないかと思っています。

2017年末に、この新型ATMの導入を発表し、対外的にはオープン・イノベーションを起こすアイデアを求めました。すでに、いくつか研究が進んでいるものもあり、ATMをさらに進化させていきたいですね。

グループには「セブンプレミアム」という独自ブランドがありますが、私は、「金融版セブンプレミアム」といった、プライベートブランド型の独自の金融サービスを提供・展開していきたいと考えています。


セブン銀行代表取締役社長・舟竹泰昭(ふなたけ・やすあき)
1980年、東京大学経済学部卒業後、日本長期信用銀行(現新生銀行)入行。2001年アイワイバンク銀行(現セブン銀行)に入社。06年執行役員、08年取締役執行役員、10年取締役常務執行役員、13年取締役専務執行役員、16年副社長などを務め、18年6月に代表取締役社長に就任。

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