セブン銀行社長が語る 「新しい銀行」はこうして儲ける!

「おつり投資」もスタート
山下 知志 プロフィール

5人の社員を選抜して「セブン・ラボ」を立ち上げた

──「セブン・ラボ」の立ち上げでは、50歳前後の社員5人をメンバーにしました。

舟竹:5人のメンバーは1人1人が特徴を持っていました。1人は開業以来、ATM開発一筋で、ATMを熟知している技術者でした。もう1人は企画部長を経験し、会社全体の動きを把握していて、社内に対する発信力もあった。

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3人目は、社内にいるよりも外を飛び回っているタイプで、外部に強力なネットワークを築いていました。4人目はセブン-イレブン出身者で、若い人の懐にも積極的に飛び込んでいく。大学などで生まれる新しい動きにどんどん食い込んでいました。そして5人目が、ビジネスの絵を描いたり、冷静に分析したり、物事を整理できる、知恵者的タイプだったのです。

──映画『七人の侍』に出てくるキャラクターをイメージしてしまいますね。

舟竹:そんな格好いいものではありませんよ、おじさんばかりですから(笑)。とにかくメンバーを集めて、その後のことは、またそのときに考えればいいと思っていました。ただ、この組み合わせが非常にうまく機能したのです。

 

──その成果が、スタートアップに対する出資や協業ですが、矢継ぎ早の動きです。

舟竹:出資はいまのところ2社ですね。お釣りの小銭などを気軽に投資できるビジネスモデルのTORANOTEC(「おつり投資」アプリ『トラノコ』を運用)と不正アクセス検知サービスを提供・開発しているカウリスという会社です。

ドレミングという会社とは協業もスタートしています。セブン銀行の「リアルタイム振込サービス」を活用した「即払い給与サービス」です。働き方がどんどん多様化していますが、働いた分の給与をすぐに受け取りたいといったニーズに対応したサービスです。私たちは、小回りの利く会社ということもあって、協業の意思決定は早かったですね。

イラスト・漫画制作を手掛けるフーモアと組んで、7種類のアニメのオリジナルキャラクターが音声と画面上に現れる新型ATMを一部の場所で稼働させました。セブン銀行に口座を持っているお客様向けの「セブンコンシェルジュ」というサービスです。これは、社内で行ったオープンイノベーション・コンテストから生まれました。3人の女子社員のアイデアです。

キャラクターごとに職業や性格はさまざまで、キャラクターに応じてATMの音声のせりふも変化する。たとえば、「いらっしゃいませ」の代わりに、「あ、来てくれたんだ!」、「ご希望のお取引をお押しください」は「何して遊ぼ-?」と話しかけてくる。

「よう、何の用だよ」とか、「(お金を)持ってけよ」といった音声のキャラクターもあるのですが、これは社内の年輩の方には評判が悪い(笑)。若い女子社員に話を聞くと、「それが良いんです」というのですが、まあ、そういうこともありなのかなと。

このほかにも、スマホアプリで決済できるKyashカンムなどとも提携しました。

──こうした協業やサービスの提供は、ATMの利用を増やすことにつながりますね。

舟竹:ATMの提携先を増やしたいと思っているのです。そのために、ATMを外部と提携しやすいような基盤に変更しています。

従来型のATMは金融機関とつなぐために、複雑な金融機関手順が決められていて、数千万円規模の費用を提携先が負担する必要があるのですが、スタートアップはそんな手順など知らないし、費用負担にも耐えられない。簡単にいえば、ATMのセキュリティを万全に整えて、インターネットに接続できるようにすることで、提携先の負担を減らしました。

本来、キャッシュカードが必要であったものをアプリやスマートフォンで連携できるようにしていて、キャッシュレス化にも対応している。銀行をあまり利用しない方でも、そうしたアプリを利用しているケースでは、ATMの利便性を実感していただけるのではないでしょうか。

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