桜田五輪相の答弁を笑う人に知ってほしい「質問通告」の奇妙な仕組み

本当に、このままでいいんですか?

「しどろもどろ」になってしまう理由

桜田義孝五輪相が、2018年11月9日の閣議後の記者会見において、5日の参院予算委員会での蓮舫議員の質問に対する自身の答弁を巡り「質問通告が全然なかった」と発言したことについて「事実と若干違いがある」と撤回した。一方で質問通告について「事前に詳細な質問内容の通告をいただければ充実した質疑ができた」とも主張している。

これに対してマスコミ報道などは、大臣としての資質があるのか、と厳しい視線を寄せている。例えば朝日新聞は「桜田五輪相、大丈夫? 記者会見で「知らない」連発」https://www.asahi.com/articles/ASLC652KQLC6UTFK00V.html)と報じている。

ところで、質問通告とはどのようなもので、大臣や官庁はそれにどう対応するのか、を知っている人は少ないだろう。また、その慣習に問題があるとすれば、通告方式に改善の余地はないのだろうか。今回はこの問題について考えてみたい。

 

国会質疑の基本は、憲法第63条「内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。」である。

2001年より前には、官僚が大臣らの代わりに「政府委員」として答弁していた。大臣が「この問題は『重要』なので、政府委員(官僚)に答弁させます」と発言したという、笑い話のような逸話も多い。

しかし、1999年に成立した「国会審議の活性化及び政治主導の政策決定システムの確立に関する法律」によって、政府委員制度が廃止され、副大臣・大臣政務官制度が新設された。これで、官僚は「政府参考人」となり、彼らが答弁する機会は大きく減った。その代わりに、政治家が答弁する形に大きく変わったわけだ。

この国会審議を円滑に行うために、質問者が事前に質問の趣旨を通告している。これが「質問通告」だ。質問通告は、政府答弁の準備をさせるためにあり、いわゆる国会慣習で、国会法などに規定はない。

現在は「与野党間ルール」で、2日前の昼には通告することになっている。質問通告は、一般的に、A:前日夕方に国会議員会館に呼ばれ、議員と役所職員が対面にて質問通告内容を伝達する形態をとっている。質問者によっては、B:質問の項目だけをファックスなどで連絡してくるだけ、の場合もある。

AかBの形で「質問通告」が行われた後、その質問に答える担当課が割り振られて、その後に官僚が答弁を作る。筆者の感覚では、質問通告が出そろうのが前日の20時頃、担当課の割り振りが決まるのが22時頃というのが、平均的なところだろう。

いずれにしても、質問者からの質問通告がたいがい遅いので、答弁を作成する官僚は深夜勤務・残業を余儀なくされる。担当課の割り振りが終わるまでは、官僚は基本的に持ち場で待機せざるを得ない。また、答弁する所管大臣も、審議当日の朝にさっと目を通すだけで答弁せざるを得ないのが現状だ。

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