「密約」はあったのか? 桑田と清原「涙のドラフト会議」を語ろう

「プロ野球最大のミステリー」の真実
週刊現代 プロフィール

読売と西武の「戦争」

得津 巨人はいつから桑田を指名するつもりだったのか。密約はあったのか。そして、清原は親友に寝首をかかれた「哀れな道化」だったのか……。

キクさんはじめ巨人関係者が黙して語らないこともあり、あの事件の真相は「プロ野球史上最大のミステリー」として語られることになる。

城島 そもそも、桑田の「早大進学」はどれくらい本気だったのでしょうか。

坂井 我々も事前にいろいろ手を尽くして調査しましたが、桑田の早大進学は既定路線で、いっぽうの清原は熱烈な巨人志望、あっても阪神、それ以外なら社会人の日本生命というのが「妥当な見立て」でした。桑田の進学の意思は嘘ではなかったと思っています。

Photo by GettyImages

得津 どこの球団も概ねそういう認識で一致していましたよね。

ただ、ロッテのスカウトであると同時にPLのOBでもあった私は、ドラフト前から二人とは秘密裏に話もしていました。9月に桑田とお茶をした時、「おやっ」と思ったことがあったんです。

私が「真澄、絶対に早稲田に行くんやな」と聞くと、桑田はまっすぐこちらを見つめて「はい」と答えた。

ところが、「もし巨人から指名されたらどないするんや」と続けると、アイツは固まったまま、何も答えられなかった。その時に私は、「あ、真澄も本心では巨人に行きたいんやな」と確信しました。

ただ、親友である清原が巨人に惚れ込んでいる。桑田には口が裂けても「俺も巨人だったら行きたい」と言うことはできなかったのでしょう。

 

坂井 巨人と桑田の間で密約があったのかどうかは「藪の中」です。しかし、ウチは巨人が、清原桑田のW獲りを狙っているのではないかと疑っていました。

つまり、こういうことです。まず1位で「相思相愛」の清原を獲得する。次に、進学を公言している桑田がどの球団からも指名されなかったところで、「ドラフト外」での獲得を狙う。

桑田が本心から進学したいと思っていたとしても、巨人なら腕ずくで獲ってしまうだろうと。この「両獲り」だけはなんとしても避けなければいけないと思っていました。

城島 ドラフト外入団は悪用の恐れがあるとして1990年に禁止されますが、KKドラフト当時ならありえる話ですね。

坂井 我々は前身であるクラウンライター時代に「空白の一日」で江川卓をかっさらわれて以来、巨人との情報戦に全力を注いできました。KKドラフトも、実質的には「正力読売」と「堤西武」という二大帝国の戦争だったと思っています。