僕は大学生のとき、本当にいろいろなアルバイトを経験しました。
皿洗いなど、一般的なアルバイトの他に、たとえば、シューズメーカーで、展示会用の靴にヒモを通すなんていうバイトもやりました。
ひと晩中、ひたすら靴にヒモを通して8000円。
ずっと靴ヒモを通し続けていると、だんだん変になり始め、ヒモを通す穴が大きくズームして見えてくる……そんな体験もしました。
あと、面白いところでは、テレビの高校生クイズで、予選の◯×クイズのときに、「◯と×に分かれた人たちの間にロープを張って仕切る」なんてアルバイトもしました。それは1日で1万円を稼ぎました。
そんな数々のアルバイトの中で、僕が「スゴイ! 稼ぎ方」の基本的な考え方に気がついたのが、家庭教師のアルバイトでした。
当時、僕は「大学生」という自分のアドバンテージを活かそうと、家庭教師斡旋センターに登録していました。
そこでの家庭教師代は、1時間につき1000円。
初めての家庭教師としての体験……、訪問先へ伺い、2時間教えました。
教え終わると2枚のチケットを家庭教師先のお母さんからいただきました。
この1枚がセンターへ持ち込むと1000円に変わるのです。
2枚で2000円……そのとき、家庭教師先のお母さんに、
「このチケットは、1枚、いくらで買っているんですか?」
って聞いてみたんです。すると、
「1枚1500円よ」
と。そのとき、「えっ?!」と衝撃的な光が僕の体の中を走ったんです。
つまり、僕が2時間教えると、家庭教師斡旋センターは1000円儲かる!!!
そのカラクリを知った僕は瞬時に、こんな提案をしました。
「お母さん、このチケットの束がなくなったあとも僕を継続してくださるなら、チケットは買わないでください。僕が1時間1000円で教えに来ますから」
と言うと……、お母さんは「ニヤリ」と笑って、
「あなた、面白い子ね。いいわ、じゃああなたに1時間1500円払ってあげる」
って言ってくれたんです。
そのお母さんは、服屋さんを4軒も切り盛りしている経営者だったので、すかさずお金のカラクリを理解し、面白い提案をしてくると、僕を気に入ってくれたのです。