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人民元安が加速…!中国、メンツを賭けた通貨防衛の厳しい行く末

「1ドル=7.0元」死守は絶対なのか
唐鎌 大輔 プロフィール

ところで、余談になるが中国の外貨準備減少を捉えて「ついに中国が米国債売りに動いた」と貿易戦争の報復策の一環として解説する向きも目にしたが、それは適切な理解とは言えない。

後述するように、中国株だけが主要株価指数でアンダーパフォームしているのは明らかであり、問題の真因は中国当局が御しかねている資本流出にあると思われる。

また、中国が米国債を売却して米国を困らせてやろうという意図は、急な金利上昇を懸念する米国経済にとってそれなりに有効打になろうが、所詮は利上げ路線にあるFRBがその手を止めれば金利は直ぐに低下するはずである。

かえって自身の売却によって保有米国債の価値が毀損するという「返り血」のほうが大きくなる悪手だと思われる。

 

中国のメンツを賭けた「1ドル=7.0元防衛」の危うさ

話を元に戻す。

人民元安を志向するからと言って、2015年8月のチャイナショックの経験も踏まえれば、人民元の先安観が過度な資本流出を引き起こすことも中国当局の本意ではない。

それゆえ、今年8月には為替先物予約の取引に対し20%の準備金を要求することで、元売りの抑止を試みるという動きがあった。チャイナショックを受けて1兆ドルも外貨準備を消費した以上、もはや外貨準備を安易に減らしたくないという胸中は当然である。

しかし、そうした中国当局の胸中にもかかわらず、外貨準備が今年7月をピークに減少し始め、直近2ヵ月では際立って減少している。この状況からは「想定を超える資本流出(元売り)が起きているが、ドル/人民元の『7.0』にはこだわりたい」という苦しい台所事情が推測される。

想定を超える資本流出が起きていることは、主要国株価の中でも上海総合指数が突出して年初来下落している状況が物語っている(下記図表)。

巷で指摘されるように、中国当局は10年ぶりの元安・ドル高水準となる「1ドル=7.0元」超えの領域を許容していないと考えられ、同水準への接近を防ぐために実弾が投入されているのは間違いない。

人民元安誘導が「諸刃の剣」だと形容されるのは、通貨安による景気刺激効果とそれ自身への観測がもたらす資本流出が相反する効果を持つからである。

後者が前者を上回らない限り、人民元安政策が奏功するという話になるが、その分水嶺が「7.0」という位置付けになっている模様である。