# バフェット

投資の神様バフェットが最も重視した「企業を見抜く4つの視点」

ブランドと仕入れ、そして…
大原 浩 プロフィール

一部を買うのも全部を買うのも一緒

「企業の一部分(株式)に投資するときも、全部を買うときもやり方は同じだ」というのが、バフェットの口癖だ。

つまり小規模(バフェットのいう小規模は売り上げ1000億円以上。それ以下は効率が悪いので基本的に扱わない)の会社を丸ごとM&Aで買収するときも、コカ・コーラやIBMなどの大企業の株式の一部(市場などでの株式の売買の場合)を購入するときも同じだということである。

例えば、ある企業がM&Aで他の企業を買収するときには、会計士や金融機関の専門家なども含めたチームがその企業の営業状況・資産などを徹底的に調査する。その結果、企業の(丸ごとの)価値が算定され、その価値を基準に買収交渉が行われる。算定された企業の価値(価格)よりもできるだけ安く購入するのが買い手の腕の見せ所である。

 

もっとも、複数の企業が競り合う場合では、特に、買収価格が跳ね上がり合理的とは言えない価格で決着することが多いことは、バフェットが指摘する通りである。バフェットが成功したのは、合理的な算定価格よりもびた一文も余分な代金を払わず「条件が合わなければ見送る」勇気を持っていたからである。

バフェットの場合は、M&Aの際に会計士や仲介金融機関を使わないのが原則だ。彼の企業の財務・決算データを読み解く力が第一級であるということもあるが、財務データだけでは企業の「本質的価値」はわからないからである。

むしろM&Aの売り手側が提出する資料は「高く売りたい」という願望が背景にあるので、眉唾で読んだ方が良いとも言える。

バフェットが、彼の地元オマハの繁盛店ネブラスカ・ファニチャーマートを創業者の女傑から買い取った時の有名なエピソードがある。

ある日突然バフェットが店を訪れ、ミセスBと呼ばれる創業者に「店を売ってほしい」と声をかける。彼女は「いったいいくらで買いたいんだい?」とすぐに答える。バフェットは、手元のメモに金額を提示する。ミセスBは「それでいいよ。でもうちの帳簿とか見なくてもいいのかい?」と質問する。バフェットは「必要ありません」と右手を差し出し、握手によってこの契約は5分以内に決まった。

実は、地元の繁盛店であるネブラスカ・ファニチャーマートをバフェットも足しげく訪れ、売り場の状況から売上高や利益などを税務署員のように、推定していたのである。後になって、ミセスBはその時、バフェットが指摘した数字が驚くほど正確であったと振り返っている。

そして、このやり方は企業の一部(の株式)を買うときも変わらない。バフェットが、コカ・コーラ、デイリー・クィーン、ジレット(現在はP&G傘下)などの大衆消費財ビジネスに好んで投資するのも、決算資料に頼らなくても自分の目でその企業の「本質的価値」を見定めることができるからである。