なぜ「1975年の日本食」は健康にいいのか

老化を遅延し健康に加齢するために
都築 毅 プロフィール

また以前に、日本食の特徴の1つである魚の摂取量の多さに着目し、魚油(エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸が豊富)の寿命に対する効果をSAMP8マウスを用いて試験したが、寿命の延伸効果は認められなかった4。このように、何か1つの成分の効果で寿命延伸効果を得るのは難しいと考えられた。

そこで、各年代の日本食に含まれる成分を様々な質量分析器で一斉分析し、1975年の日本食で特徴的な成分の探索を行った。

〔PHOTO〕iStock

各年代の日本食について、水に溶ける有機物全体を測定できるCE-TOFMSを用いた分析では、測定可能な約900個のうち261個の成分が、水に溶けない(有機溶媒に溶ける)有機物全体を測定できるLC-TOFMSを用いた分析では、測定可能な約300個のうち66個の成分が、無機物全体を測定できるICP-MSを用いたミネラルの分析では、測定可能な約70元素のうち34個の成分が検出できた。

得られた3つの結果を統合し、主成分分析を行ったところ、各年代の日本食は成分的に大きな差異を有していた。第1主成分では年を追うごとに高値または低値を示している成分が抽出され、第2主成分では1975年の食事を中心に高値または低値を示す成分が抽出された。

1975年の食事を中心に高い健康有益性が示されているので、この第2主成分として抽出された成分に健康有益性を示す要因が含まれていることが示唆された。そこで、抽出成分を含む食材を検索したところ、魚類、大豆食品、野菜、出汁(鰹)、果物、緑茶等に多く含まれることが分かった7

これらの点を考慮に入れて食習慣を見直せば、1975年の日本食の成分の健康有益性を実生活に取り入れることができると考えられた。

 
【参考文献】
1. 都築毅ら:日本栄養・食糧学会誌,61,255-264 (2008).
2. 本間太郎、都築毅ら : 日本食品科学工学会誌,60,541-553 (2013).
3. Y.Kitano,T.Tsuduki,et al : J.Jpn.Soc.Nutr.Sci.,2,73-85 (2014).
4. T.Tsuduki,et al : Nutrition,27,334-337 (2011).
5. 本間太郎,都築毅ら : 日本食品科学工学会誌,59,63-68 (2012).
6. K.Yamamoto,T.Tsuduki,et al : Nutrition,32,122-128 (2016).
7. Y. Iwagaki, T. Tsuduki,et al : Mol. Nutr. Food Res, 61, (2017).