なぜ「1975年の日本食」は健康にいいのか

老化を遅延し健康に加齢するために
都築 毅 プロフィール

まとめ:1975年の日本食が健康にいい理由

本研究では、老化の進行を評価する上で、グレーディングテストとパッシブアボイダンステストを行った。

グレーディングテストを行った結果、48週齢のマウスにおいて05群が最も老化が進行し、75群が最も老化の進行が抑えられていた。

また、パッシブアボイダンステストも同様の傾向が見られ、05群において最も学習記憶能が低下し、75群において最も学習記憶能が維持されていた。

本研究において、現代日本食に比べて1975年の日本食は老化の進行を遅延することが示唆された。

さらに、マウスを寿命まで飼育し、平均寿命を算出した。マウスの平均寿命は05群と比べて75群で有意に延伸した。よって、現代日本食と比べて1975年の日本食は、寿命の延伸に有効であると考えられた。

現在長寿と呼ばれている人々は、40歳~60歳頃の壮年期・中年期に1975年頃の日本食を食べてきた世代である。

つまり、生活習慣病の発症や老化の進行が始まる時期に適切な食事を摂取してきた可能性が高く、これが日本人の平均寿命の延長をもたらした可能性がある。

 

しかし、現代の青年期以前の人々は現代日本食に慣れ親しんできた世代であるため、日本人の平均寿命延長が今後も続いていくことは難しいかもしれない。

現に、糖尿病などの生活習慣病の患者数は年々増加を続けている。そのため、現在の食生活が続けば、日本人の健康状態や平均寿命は悪化していくことが懸念される。

それを防ぐためにも、今後、過去の日本食をさらに詳細に調査し、健康維持や老化遅延に有効な食事を示す必要がある。

日本食は年代によってマウスに異なる効果を示した。この原因の1つとして、食事中のタンパク質・脂質・炭水化物のエネルギーに占める割合(PFCバランス)の違いが考えられた。

最近我々は、各年代の日本食のPFCバランスを精製飼料で再現し(AIN-93G組成を改変した)、それをmimic日本食として、マウスへの摂食試験を行った3。理想のPFCバランスについては、ある程度の幅を持たせて厚生労働省によって示されている。

この理想のPFCバランスと比較してこの試験の日本食のPFCバランスは、1960年で炭水化物に大きく偏っているが、2005年、1990年、1975年においてはおおよそ理想の範囲に収まっていた。

mimic日本食をマウスに与えたところ、白色脂肪組織重量に年代間に大きな差はなかった。また、血清や肝臓パラメーターについても、大きな差は見られなかった。

よって、年代ごとの日本食を用いた試験で見られた1975年日本食の効果は、日本食のタンパク質、脂質、炭水化物の量(バランス)に依存せず、それぞれの質(成分)の違いが重要であることが示唆された。