なぜ「1975年の日本食」は健康にいいのか

老化を遅延し健康に加齢するために
都築 毅 プロフィール

老化や寿命に着目してみると…

時代とともに変化する日本食の健康有用性が明らかとなったが、これらの日本食が本当に老化遅延や長寿に有益かどうかは明らかとなってはいない。日本食が老化や寿命に与える影響を明らかにできれば、日本食の長寿効果の一端が明らかにできる。

そこで、老化促進モデルマウスであるSAMP8マウスを使用し、各年代の日本食が寿命や老化に及ぼす影響を評価した。

SAMマウスは1981年に京都大学で樹立されたマウスであり、様々な老化兆候を示す系統(SAMP1、 P2、 P3、 P6、 P7、 P8、 P9、 P10)が存在する。

SAMP8マウスは正常な成長過程の後、24週齢頃から急速に老化が進行し、それに加え学習・記憶障害などの病態を示す。そして、寿命が約48週間と短く、食事組成と老化の関連を調べる研究に広く使用されている4

 

本試験では、外見の老化度の評価(グレーディングスコア)と脳の学習記憶能の評価(パッシブアボイダンス)を行い、老化の進行を評価し、寿命を測定した。

現代の日本食と過去の日本食の健康有益性を比較するにあたり、 ここでも2005年の日本食を現代日本食と定義した。

そして、管理栄養士の指導の下、国民栄養調査および国民健康・栄養調査(以下、国民健康・栄養調査)に基づき、2005年、1990年、1975年、1960年それぞれの1週間分(21食)の日本食の献立を以前に報告した方法を参考にして作成した1, 2, 3, 5。その後、これらを調理し、真空凍結乾燥機で凍結乾燥し、粉砕・攪拌して均一化した。

食事の献立表と使用した食材の食品群別使用量をそれぞれ表1と表2に示した。

2005年の日本食は、他の3種類の日本食と比べて野菜類、きのこ類、肉類、油脂類の使用量が最も多く、一方で穀類、いも及びでん粉類、砂糖及び甘味類、藻類の使用量が最も少なかった。

1990年の日本食は、他の3種類の日本食と比べていも及びでん粉類、種実類、乳類、し好飲料類の使用量が最も多かった。

1975年の日本食は、他の3種類の日本食と比べて砂糖及び甘味類、豆類、果実類、藻類、魚介類、卵類、調味料及び香辛料類の使用量が最も多かった。

1960年の日本食は、他の3種類の日本食と比べて穀類の使用量が最も多く、一方で豆類、野菜類、果実類、きのこ類、魚介類、肉類、卵類、乳類、油脂類、し好飲料類、調味料及び香辛料類の使用量が最も少なかった。

作製した食事の栄養組成(脂質、タンパク質、水分、灰分、炭水化物、エネルギー)を測定し、表3に示した。

4種類の日本食の食事組成はどれも国民健康・栄養調査の数値と調理した食事の実測値に大きな差はなく、再現性よく日本食を作製できた。

食事中のエネルギー量に占めるタンパク質の割合は1990年で最も多く、1960年で少なかった。また、脂質の割合は2005年で最も多く、1960年で最も少なかった。炭水化物の割合は1960年で最も多く、2005年で最も少なかった。