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絶対読むべし!37年かけて完結…小説『流転の海』面白さに戦慄せよ

ホントに読まなきゃもったいない

宮本輝の小説『流転の海』が完結した。

最終巻の『野の春』が刊行された。

とても長い小説だ。書き出されたのはずいぶん昔である。

連載が始まったのが1981年、昭和でいえば56年になる。

何度か中断があり、断続的に書き続けられ、すでに単行本にして8冊が出されている。最終章の『野の春』は雑誌の「新潮」に連載され、今年の7月号で完結、10月末に刊行された。

終わらないのではないかと心配した人も多かったであろうこの長編が、37年かけて、ついに完結したのである。

「新潮」7月号で、最終話を読みおわったとき、私はしばらく茫然としてしまった。

何かをおもい返そうとして、何もおもいだせない。そういう気分だった。とてもたくさん言いたいことがあったはずなのに、何も言うことがおもいつかない。

大きなものが終わってしまった、という感慨だけがあった。

そういう事態に、頭ではなく、身体が反応してしまったのだろう。ただぼんやりとしていた。

読み終わってしばし茫然とする作品に出会ったのは、ずいぶんとひさしぶりである。

 

著者、34歳で書き始め、71歳で完結する

松坂熊吾という男の物語だった。

長い小説であるが、ひとつの「お話」を追っているわけではない。人生そのものを描いている。彼の人生にはいろんな側面があり、それを多角的に描いていた。

それが、おもしろい。

圧倒的におもしろかった。

読み出すとずっと読んでしまう小説である。

全9部のそれぞれのタイトルを並べるとこうなる。
1『流転の海』(福武書店より1984年に単行本発売。のち新潮社から出版し直される)
2『地の星』(1992年)
3『血脈の火』(1996年)
4『天の夜曲』(2002年)
5『花の回廊』(2007年)
6『慈雨の音』(2011年)
7『満月の道』(2014年)
8『長流の畔』(2016年)
9『野の春』(2018年)

著者宮本輝が34歳のときに書き始められ、71歳で書き終えたことになる。

すさまじい。