photo by iStock

大陸の生みの親は海だった!西之島から見えてきた大陸形成メカニズム

地球科学の「ニワトリとタマゴ」問題
1973年に新島として現れた西之島。日本人に「陸地が増えた!」と実感させたこの島での噴火が、それまでの地球科学の常識を塗り替えました──。
いったいどういうことなのか。国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の田村芳彦氏による研究成果を、ベストセラー『日本列島の下では何が起きているのか』著者の中島淳一氏に解きほぐしていただきましょう。

約46億年前に地球が誕生して以降、大陸は少しずつ増えてきたと考えられています。現在の地球でも、プレート沈み込み帯における火山噴火や大陸地殻へのマグマの底づけにより、大陸はゆっくり成長しています。

しかし、火山噴火で大陸が成長しているという実感はほとんどないでしょう。一方、「新しい島ができた!」と聞くと、陸地が増えたのを実感すると思います。日本列島周辺で最近起こった島の形成は、2013年の西之島の噴火によるものです。

西之島は、東京の南約1000km、父島の西約130kmにある小さな島で、伊豆・小笠原諸島の1つです。また、太平洋プレートの沈み込みによって生じたマグマが地表に噴出してできた、フィリピン海プレート上の火山島です。

  西之島の位置(左の図)と上空からの写真(写真提供:国土地理院)

2018年1月現在、島の面積は約2.95平方km(皇居の約2.5倍)、最高点の標高は160mです。一見すると小さな火山島ですが、海水面下には3000mもの高さの巨大な山体が隠れています。

西之島は、海水面からわずかに顔を出した大きな海底火山の山頂部なのです。

【図】西之島は海水面下に巨大な山体を隠している
  西之島は、海水面からわずかに顔を出した大きな海底火山の一部だ

実は、西之島の噴火には大陸成長(拡大)の謎を解く鍵が隠されていました。それどころか、この小さな火山島での噴火が、それまでの地球科学の常識を変えてしまったのです。

ここでは、噴火後の西之島の研究から少しずつわかってきた大陸成長メカニズムを解説します。

大陸はいつからあるのか?

まずは、大陸に関する謎を紹介します。じつは、地球にいつから大陸が存在するのか、はっきりとはわかっていません。

私たちにとって「陸地(大陸)」があることは当たり前で、陸地のない地球は想像できません。しかし、誕生したばかりの地球は、しばらくは地表をマグマの海(マグマオーシャン)に覆われていました。当時の地球では、小惑星との衝突が頻繁に起きていたため、非常に高温だったのです。この時代、地球上にはまだ陸地はありませんでした。

やがて地球表面が冷えるとマグマが固化して、薄い地殻(原始地殻)が形成されました。その際、マグマに溶け込んでいた水は原始大気中に濃集し、その一部が雨となって地表に降り注ぎ、海洋が形成されたと考えられています。

現在の地球に残されている地質学的な証拠から、38億年前にはすでに海洋が存在していたことがわかっています。

さらに、遅くとも27億年前には超大陸(地球上の大陸が一つに集まった状態)が形成されていたことがわかっています。超大陸ができるためには、それ以前に存在していた大陸同士が衝突する必要があります。そして、大陸同士の衝突が起こるためには、大陸間にある海洋底が大陸下(地球内部)へ沈み込まなくてはなりません。

つまり、27億年以上前に大陸がすでに存在し、プレートの沈み込みが始まっていたと考えられるのです(38億年ほど前にはすでにプレートテクトニクスが始まっていたという研究もあります)。