# フェイクニュース

「右寄りアカウント」フォロワーの大半はボットとサイボーグの可能性

日本でもネット世論操作が行われている
一田 和樹 プロフィール

さらに、日本にはネット世論操作が成功しやすい4つの脆弱性(「少数民族の存在」、「内部分裂の容易さ」、「他国との緊張関係」、「脆弱なメディアのエコシステム」)がある。

これらは近年悪化している。海外からの労働者を含めた移民の増加は民族間の問題も増加させ、ネットの扇動でリアルに他の人々を攻撃する人も増えており、他国との関係もいいとは言えない。そしてメディアはさまざまな点で脆弱だ。

そのうえ守りはないに等しい。先進諸国の中で政府がフェイクニュースやネット世論操作に対して、まともに取り組んでいないのは日本くらいである。

 

フェイクニュースが拡散されやすい背景

また、日本には「適切な情報」を遮断する複数のフィルタが存在する。図に示した4つが代表的なものだ。情報が遮断され、正しい情報が届かなくなれば正しい判断もできなくなり、容易にフェイクニュースを信じ、世論操作されることになる。

フィルタバブルネットとは利用者が見たいと思うものだけを見る/だけしか見えないようになる現象を指す。多くのネットサービスは利用者の傾向を分析し、好みのものを中心に表示している。そのため関心のないものや好みではないものは表示されなくなってゆき、どんどん偏ったものとなる。

たとえば一度現政権支持の嗜好を持つと現政権に都合の悪い情報は表示されなくなり、逆に政府を批判する野党や団体の悪い面を強調した情報が入るようになる。世界に広がっている問題でもある。

機能的識字能力フィルタとは機能的識字能力が低いため、文章の意味を理解できない問題である。ツイッター上のタイムラインをよく見ると相手の発言の意味を理解せずに返信をしている人を見かける。その齟齬は機能的識字能力が低いことに起因している可能性がある。

数学者で国立情報学研究所社会共有知研究センター長の新井紀子氏が、2011年に調査を行い、機能的識字能力の低い人が多いことを発見したことで話題になった。機能的識字能力が低いとわかりやすく感情に訴えるフェイクニュースに反応することはできても、それを分析し検証している記事は理解できない可能性が高い。

この懸念を裏付けるように2020年から始まる「大学入学共通テスト(仮称)」の原案には行政のパンフレットや駐車場の契約書を読解する問題が含まれていた。大学進学を希望する学生の中にこれらの文章を完全には理解できない者が含まれているということだろう。ほとんど全員が理解できるなら試験問題にはならない。

ちなみに高校3年生になると多くは18歳になり、国家間の契約である条約の批准や法案を審議する国会議員選挙の投票権を持っている。

報道機関の偏向もリスクを高めると考えられる。産経新聞が誤った情報を報じた事件『産経新聞の報道はミスリード 「沖縄県が観光収入を過大発表 基地の恩恵少なく見せ、反米に利用か」を検証』(2018年1月10日、BuzzFeedNews)を始めとして誤りや偏りのある記事がある。

最近特徴的だったものにシリアで活動する通称ホワイトヘルメットに関する報道がある。ホワイトヘルメットの正式名称は「シリア民間防衛隊(Syria Civil Defence)」で2012年から2013年にかけて爆撃が激しくなった頃にコミュニティを守るためにできたボランティアグループである。

シリアでなにが起きているかを知られたくない人々(アサド政権、ロシアなど)にとっては都合の悪い目撃者であり、証人となっている。そこでロシアはホワイトヘルメットに関するフェイクニュースを広めて彼らの信用を毀損しようとした。

多くの国では彼らに関するフェイクニュースは否定されているのだが、なぜか日本ではいまだにフェイクニュースを明確に否定する報道が少ない。