# フェイクニュース

「右寄りアカウント」フォロワーの大半はボットとサイボーグの可能性

日本でもネット世論操作が行われている
一田 和樹 プロフィール

右寄りアカウントのフォロワーの8割はボットとサイボーグ

右寄りのツイッターアカウントにはボットが多い事実にも注目しておきたい。

筆者は Mentionmapp社( https://mentionmapp.com )創業社長ジョン・グレイ氏の協力を得て、独自に日本の政権党および過激な右寄りの発言やヘイトスピーチを行っているツイッターアカウントのフォロワーを分析した。

全体の47.2%がボットと判定され、サイボーグは32.9%で合わせると81.2%だった。サイボーグとはプログラムの支援で高速かつ効率的に投稿を行うアカウントである。基準の詳細は非公開だが、投稿のタイミングや投稿サイクルなど複数の尺度を元に判定している。少なくともふつうの人間のアカウントにはない複数の特徴を兼ね備えていたのは確かだ。

頻繁にリツイートなどを行っているアカウントはボットもしくはサイボーグの可能性が高く、複数の右寄りアカウントを重複してフォローしているものも多かった。これらのアカウントは相互にリツイートなどを繰り返している。右寄りのアカウントとボットやサイボーグと、それをフォローする拡散装置によって独自のエコシステムができているのだ。

仕掛けている者の正体や目的ははっきりしないが、右寄りの意見を拡散するボットやサイボーグを運営している人々がいるのことは確かのようだ。

ここまでボットやサイボーグをご紹介したが、トロール=人の手でSNS投稿を行うアカウントを活用してSNSやブログで右寄りの投稿や記事を書かせようとしている「何者か」も存在する。

クラウドワークスやランサーズといった大手求人サイトで、特定の政治的指向を持った記事、ヘイトスピーチ的な記事などのライター(要するにネット書込要員=トロール)募集記事が掲載されていたのである。依頼内容は現政権支持や野党批判、韓国あるいは中国の批判などであった。

批判が相次いだため、ランサーズでは政治関係のライター募集告知の掲載を中止した(「政治系ブログ記事作成案件の掲載中断に関しまして」2017年9月21日、クラウドワークス)。

 

政府が広めるウソの容認、事実改竄、「攻撃してよい」雰囲気

日本は、こうしたフェイクニュースによるネット世論操作に対する耐性は低いと考えられる。なぜなら、リアルでもフェイクニュースやヘイトスピーチが垂れ流されているからだ。その実態を見てみよう。

ウソがウソで終わらず国の仕組みに組み込まれてしまっている例がある。「江戸しぐさ」と呼ばれる偽史だ。「江戸しぐさ」とは、260年続いた江戸時代の商人のリーダーが築き上げた行動哲学であり、人間関係を円滑する知恵を指す言葉で、現代においても有用なものとして広まった。

だが、それがウソであり、偽史であることが『江戸しぐさの正体』(原田実、星海社)、『江戸しぐさの終焉』(原田実、星海社)で暴露されたが、2014年には小中学校の道徳教材や教科書で取り上げるになってしまった。いまだに「江戸しぐさ」を取り上げている学校や自治体が存在している。

「親学」も『オカルト化する日本の教育』(原田実、ちくま新書)において科学的根拠のないことが暴露された。親学とは、よりよい子育てのために学ぶべき模範的な「親のあり方」である。親学推進協会は講演会や勉強会あるいは親学アドバイザー制度などを通じて親学を日本に広めている。支援する超党派の親学推進議員連盟が組織され、いくつかの地方自治体も親学を推進し、家庭教育支援法も用意されている。