近年、会社を辞めてフリーランスになったり、会社勤めをしながら平日の夜や土日を使って副業としてフリーランスを始めたりする人が増えています。しかし、クライアントとの価格交渉の方法がわからず、クライアント側の言い値で仕事を受注してしまっているフリーランスも少なくありません。
今回は、フリーランスでありながら年収1000万円超を達成、『フリーランスがずっと安定して稼ぎ続ける47の方法』の著書もあるWebマーケターの山田竜也さんに、現役フリーランス・ライター代表として、収入の上げ方の極意についてお話を伺いました。
取材・文/大澤美恵
【回答】
いきなり難しい質問ですね(笑)。WEBマーケターの仕事も新規顧客を獲得するのに一から交渉しないといけないところがあって、僕もいまだに悩んでいるところなんですけど。
まず、収入を上げるには、「数をこなす」「単価を上げる」「仕事を変える」しかないんですよ。一番手っ取り早いのは、効率を良くして数をこなすこと。でも、1日は24時間しかないので、数をこなそうとしてもどこかで行き詰ってしまうんですね。
単価を上げようとする場合、クライアントが価値を感じていない、市場の相場が決まっている、などの事情があればそこで頭打ちになる。
上げる余地があるのに上げられていないのか、相場がすでに決まっていて上げたくても上げられないのかで解決方法が違ってきます。相場が決まっていて上げる余地がないんだったら努力のしようがないので、クライアントを変えるか、たとえばライター業であれば、ライティングの知識を活かした別の仕事をするかしかありません。
一方で、相場が決まっていても、高額報酬を得ているライターの方もいますよね。その方たちがどういう仕事の受け方をしているか考えてみましょう。
たとえば、ある企業がやっている特定のオウンドメディアの構築を手掛けるとか、スタートアップなどの企業にライティング顧問のような形で入って、毎月顧問料をいただくという方法がありますよね。これらの方法に共通しているのは、市場を創造したり、パッケージ化した商品を提案していること。こうしないとどこかで必ず収入が頭打ちになってしまうんですね。
ただ、商品を考えるときには、くれぐれも商品をぶつ切りにしないこと。ライターのお仕事って何文字いくらっていうのが多いですが、それは一番のぶつ切りなのでやめたほうがいい。
高値で交渉するためには、商品をパッケージングして細かい単価がつきにくいものにするのがポイントです。「何文字いくら」より、コンサルティングやディレクションという形、言い方は悪いですが成果物や作業時間がモヤッとしたような業務で交渉した方が高額報酬が得られやすいんですよ。付加価値がわかりやすいものほど買いたたかれるって皮肉だと思うんですけど、おもしろいですよね。
また、記事をライターに発注したことがなくて、相場を知らない会社を探すことも大事です。だから、スタートアップ企業やベンチャー企業とお付き合いをしてみるといいかもしれないですね。昔からあるような会社は、ある程度ライターに発注するときの相場が決まっているし、ライターを使うことにも慣れているし、他に発注候補の人も何人もいることが多く、単価は上がりにくいですから。
あと、「早く発注したくて急いでいる」というのも、報酬が上がりやすい要素です。「ライターを探している時間がないので、そこそこ実績のあるライターさんがいれば、それなりの金額ですぐにお願いしたい」という判断をしてくれる可能性もあるので。