80代母の怪我で知る、介護保険「徴収増額」の厳しすぎる現実

日本は老後の面倒をみてくれない国
すずき まゆみ

「田舎の親を呼び寄せる」危険性

わたしはこれまで、親がもう少し年をとったら、わたしの家の近くのマンションに引っ越してきてもらうことを漠然と考えていた。目の届くところにいれば、何かと安心だと思ったからだ。そう母に提案したこともある。しかし、母はできるだけいまの家に居たいとのことだったので、その話はなんとなくうやむやになっていた。いよいよ、この話を進めるべきか?

しかし、大澤さんは、「田舎で1人暮らしの親が心配だから東京に呼び寄せたい、という相談をよく受けます。その場合、同居はできないけれど、自分の家の最寄り駅の近くに親を住まわせれば仕事帰りに様子を見に寄ることもできる、と考える人も多いです。

でも私は基本的に、75歳を過ぎた親をひとりで新規に賃貸マンションに住まわせることには反対しています。それは、日中の見守りがなく1人暮らしと変わらないばかりか、近所に誰も知り合いがいないぶん、より孤独になってしまうから。大切なのは生きがいを持てる環境です」

たしかに。仕事に追われ、常に慌ただしく過ごしているわたしの家の近くに母が住んだとしても、そう頻繁に寄れるわけではない。

 

ひとり暮らしにいきなりなった場合

このようなケースで大澤さんが勧めるのは、サービス付き高齢者向け住宅か有料老人ホームだ。「シニア向けの賃貸マンションもありますが、75歳を過ぎたあたりから要介護認定率が上がります。そこで、まだ元気なうちに入居でき、要介護状態になっても住み続けられるタイプのものを選ぶとよいと思います」。

有料老人ホームは入居一時金が高額なので、母には無理だと思った。サービス付き高齢者向け住宅なら、ひょっとしたら……。何人かの友人から、親を連れて見に行った、入れた、などという話を聞いたことがあり、なんとなくのイメージはもっていた。ある友人が「いくつか見に行ったけど、わたしだったら入りたい、と思うようなところもあったよ。でも、親が嫌がって……」とこぼしていたことも思い出した。さて、母の場合は、どうだろうか。

いずれにしても、感じのよいところであれば、値段もそれなりだろう。大澤さんは「そうですね、ある程度のお金はかかりますね」と認めたうえで、「高齢者施設は間違いなく人徳産業。安かろう悪かろうではなく、すべて人で決まります。いくら建物や設備が立派でも、入ってみて違うな、と思うところもあれば、その逆もある」と話してくれた。

実際、悪質な事業者もあり、入居してから「こんなはずではなかった」と後悔するケースもままあるという。「ニュースでも頻繁に報道されますが、最近は高齢者施設での事件、事故も多いですし、そこまでいかなくても、24時間看護師がいると謳っていたのに実際は違っていたとか、広告と実態が異なるの施設は残念ながらあります。退去したくても契約上、多額の入居一時金が戻ってこない契約となっていたためにそのまま居続けるしかないというケースもあります」