80代母の怪我で知る、介護保険「徴収増額」の厳しすぎる現実

日本は老後の面倒をみてくれない国
すずき まゆみ

介護保険はあまりあてにならない

でも、いったい何をどのように備えておけばよいのか。大澤さんは、その前提として、公的介護保険制度の仕組みについて知っておくべきだと言う。

介護保険料は40歳を過ぎれば毎月、徴収されています。その介護保険料は、2000年の制度開始時点では全国平均で2911円でしたが、2018年には5869円となっています。しかも、介護保険サービスの利用者負担割合は、開始当初はは1割負担の前提だったのが、いまでは、所得に応じてですが、3割負担の人まで出てきています。これほど“負担増大+サービスが縮小”されているにもかかわらず、無頓着な人が多いことに驚いているんです」

大澤さんによれば、自身のセミナーなどで介護保険の話に言及すると、40代~50代でも「え? 介護保険料なんて私、毎月払っているんですか?」などと言う人は珍しくもないそうだ。

お恥ずかしい話だが、実はわたしも無頓着なうちの1人だった。それなのになんとなく、「いざとなったら介護保険サービスを利用すればいい」などと考えていた。

しかし、どうやらコトはそう簡単ではないようだ。自治体は要介護者をできるだけ減らしたいので、そもそも介護認定が下りにくい。また、介護認定が下りても、自宅での1人暮らしを支えるだけのサービスを受けるには、月何十万ものお金が必要になることもある。

要するに、まず備えておくべきなのは、お金なのだ。

 

日本は老後の面倒を見てくれる国ではない

大澤さんは、「そう、何はともあれお金がいちばん問題です。ヨーロッパなどでは、税金が高い代わりに老後の面倒は全部国が見てくれる国もあるようですが、残念ながら日本はそうじゃない。厚労省HPに『地域包括ケアシステム』について説明するページがあるが、そもそも『地域包括ケアシステム』を導入する理由は、少子高齢化や財政状況から、老後の生活は『互助か自助』の果す役割が大きくなるからと明記しています。つまりは『国はお金がないので、公費で面倒みることはあまり期待しないでね』と言っているということです。

まさに、親が元気なうちに、この先どこで、誰と、どう暮らしたいのか?介護が必要になったらどうしたいのか?そして、年金額や預貯金、保険、不動産など、いまある資産がどれくらいあるのか把握し、老後のマネープランを親子で立てておくべきです」

もっとも、親の住まいについても考えておくべきことは山ほどある、と大澤さんは言う。たとえば、家の中で転んで骨折する事故を防ぐために、あらかじめリフォームをしておくなど。多少の費用がかかったとしても、親が暮らしやすい住まいを整えておくことで、自宅で元気に暮らせる年数は確実に伸びる。

一方で、配偶者の死別や家族の転居などによって急遽高齢者が一人暮らしすることになった場合、それをきっかけに、住み替えも視野に入れる必要もある。