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2020年、トランプ再選を止められる民主党大統領候補は誰か

噂の候補を一挙紹介
渡辺 将人 プロフィール

セレブリティ候補は低調か

第6に、2016年大統領選挙を見送った者と敗北した者である。

2016年の出馬をあえて見送ったジョー・バイデン前副大統領はラストベルトの白人労働者が基盤で、トランプ支持者を切り崩す中道アピールが武器だ。しかし、2020年に78歳となることに加え、「Me Too」の流れ弾を被弾中だ。

1991年の最高裁判事承認当時、司法委員長だったバイデンはアニタ・ヒル弁護士の告発に対して非協力的だった。カバノー騒動でこの古傷が再発見され、民主党の女性支持者のあいだで「そういえばバイデンは女性の敵だ」と酷評が復活している。

2016年の民主党予備選挙で敗退したマーティン・オーマリー元メリーランド州知事は、2020年時点で57歳とまだ若い。副大統領候補だったバージニア州選出ティム・ケイン上院議員も選挙年はまだ63歳で、中間選挙でも無事再選された。しかし、2016年大統領選挙の敗北をめぐる不幸の記憶を呼び起こすとして、党内では「過去の人」としたがる向きが強い。

第7に、民主党版のトランプ型候補、いわゆるセレブリティや実業家系の候補だ。

民主党内には、トランプとの差異化のために、非政治家の候補を避けるべきとの議論がある。

トークショー司会者で慈善家のオプラ・ウィンフリーの名前は適宜でてくる。黒人女性だが2008年の大統領選挙の予備選挙中、女性よりも黒人アイデンティティを優先してヒラリーではなくオバマを支援して潮目を変えた。巨大な女性票と独特の政治的発言力を持っている。

オプラ・ウィンフリーオプラ・ウィンフリー氏〔PHOTO〕gettyimages

だが、本気でウィンフリーを推す民主党戦略家は少ない。彼女の名前が報道されると女性と黒人の票が活性化するので、党の情報戦略で適宜メディアに噂を振りまいている側面も皆無ではない。

他にはこれまで、「ザ・ロック」の呼称で親しまれるプロレスラーで俳優のドウェイン・ジョンソンのほか、NBAオーナーのマーク・キューバン、スターバックス社会長のハワード・シュルツ、facebook創業者のマーク・ザッカーバーグら実業家の名前もあがっていた。最年少は2020年時に僅か37歳のザッカーバーグであるが、情報流失騒動で会社のイメージを悪くしている。

ハーバード大学卒コメディアンという異色のミネソタ州選出アル・フランケン上院議員に期待する声もあったが「Me too」運動の一環による女性問題の露見で2018年1月に辞任した。

出馬に関してより現実的な可能性が取沙汰されているのは富豪で慈善家のトム・ステイヤーだ。トランプ弾劾に2000万ドルの広告を投じたり、環境問題に熱心に取り組み、民主党内での評判は高い。

実業家候補にはもう1人噂の人物がいる。マイケル・ブルームバーグ元ニューヨーク市長だ。現在76歳ではあるが、ブルームバーグ創業者で市長経験もある。中道派の票と無党派の票を集める力があるが、市長時代はリベラル派の政策通の米議会スタッフを多数引き抜いた。党内人脈は意外に厚く、元スタッフにはオバマ政権高官もいる。

マイケル・ブルームバーグマイケル・ブルームバーグ元ニューヨーク市長〔PHOTO〕gettyimages

彼ら実業家が民主党の予備選に参加したら、「凄まじい額の私財を投じ、高額コンサルタントがごっそり抱え込まれる」とも言われるが、民主党にとって目下大切なのは、セレブリティや実業家系の候補が「第三候補」として第二のラルフ・ネーダーにならないようにすることだ。

2000年大統領選挙では、消費者活動家のネーダーが第三候補として出馬し、民主党のゴアの票を食い、結果としてブッシュ息子政権が誕生した。これを最悪のシナリオと考える民主党にとって、無党派アピールの強い著名人候補はむやみに排除せず、緩やかに民主党予備選に取り込むのが現実的な策となる。