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# 老人ホーム

ある高級有料老人ホームに一緒に入居した夫婦が「大後悔」した理由

認知症の母の介護がむしろ激烈に…

私は90年代から介護の現場を取材し、そのリアルな現実や有益な情報を執筆や講演、NPO活動を通して紹介しています。

約半年ぶりに、ケイコさん(46歳、仮名)と顔を合わせる機会がありました。前に会ったときは、「両親が揃って有料老人ホームに入った」と明るく話していたのに、やけに憂鬱そうな表情をしています。

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新聞広告に出ていた「介護付き有料老人ホーム」

シングルのケイコさんは東京都内で働く会社員です。学生時代に関東の実家を出ました。いまは、片道2時間弱のところで暮らします。ケイコさんには兄がいますが、海外転勤のため、現在は「一人っ子状態」だと言います。

実家の両親はどちらも80代です。現職時代に公務員として働いていた父親は、受給年金が多く、定年後は夫婦でたびたび海外旅行に出掛けるなど、ゆとりある老後を送っていました。

しかし、3年ほど前から、母親に認知症の症状が出てきました。早い段階で受診し、治療を開始したので症状は安定していましたが、それでもここ1~2年で徐々に進行。「今夜の夕食は何?」と、何度も何度も聞かれると、父親は声を荒らげることもあったそうです。また、ふらっと出掛けて、自宅に戻れなくなり、交番から連絡が来て、父親が迎えに行くことも複数回あったとか。

「父は元気とはいえ、83歳。母親の世話をすることに疲れていました」とケイコさんは当時を振り返ります。

「私が仕事を辞めて、実家に戻って父を手伝えば良かったのかもしれませんが、そんなことしたら私の人生がめちゃくちゃです」

 

ケイコさんは、月に1回、両親の様子を見るために実家に帰るので精一杯。ほとんどの時間は両親2人きりです。

そんな時、父親は、新聞広告に出ていた「介護付き有料老人ホーム」に目を留めました。ケイコさんは父親から、「お母さんと老人ホームに入るのもいいかなと思うが、ケイコはどう思う?」と聞かれました。それから間もなく、父親は見学に。ちょうど夫婦で入居できる2人部屋に空きがありました。