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# 米国経済

中間選挙後の米国経済はどうなるか…専門家のひとつの予測

経済繁栄と株価上昇の条件とは

成長トレンドをどうみるか

いよいよ米中間選挙の開票が始まった(本稿執筆時点)。筆者は、米国の政治状況についての専門家ではないので、選挙の結果は専門家に任せるとして、ここでは、中間選挙後の米国経済の注目点について、筆者なりの考えを述べたいと思う。

筆者は、中間選挙後の経済政策を考えるにあたっては、「成長トレンドをどうみるか」が重要ではないかと考える。

直近時点(2018年4-6月期)の米国の実質GDP成長率は、季節調整済前期比年率換算で+4.2%と従来の成長率から加速している。米国経済は2015年7-9月期頃から成長率の減速に見舞われてきたが、トランプ大統領就任後の2017年4-6月期頃から徐々に伸び率を拡大させている。

アトランタ連銀の「GDPNow(ナウキャスト指標の一つ)」における2018年7-9月期の予測値は同+3.6%なので、米国経済は引き続き、CBO(議会予算局)の潜在GDP成長率予想(2.1%)、FRBの経済見通しの均衡値(1.8~2.0%)を大幅に上回る成長が続く可能性が高い。

問題は、この想定よりも高い成長率をマーケット参加者、及び政策サイドがどのように考えるかである。

2017年1月に上梓した拙著『ザ・トランポノミクス』でも言及したが、トランプ政権は、減税等の財政出動を駆使して米国の成長トレンドをリーマンショック前の水準(実質で3%程度)に戻そうとしているのではないかというのが筆者の仮説である。

ちなみに1992年1-3月期から2008年7-9月期までの実質GDPの平均成長率(リーマンショック前の成長トレンド)は年率換算で+3.1%であったが、リーマンショック後の2008年10-12月期からトランプ大統領就任直後の2017年1-3月期までの平均成長率は同+1.9%であった。そして、その後、2017年4-6月期から2018年4-6月期までの平均成長率は同+3.6%と大きく上昇している。数字でみれば、ここまでのトランプ大統領の経済政策は実績を上げている。

 

このような成長率の上振れで、米国では長期金利の上昇が顕著になっている。昨年終盤は残存10年物国債利回りでみて2.5%程度の水準であった長期金利は直近では3.2%程度まで上昇している。

このような金利の上昇は、景気過熱による将来のインフレ懸念、もしくは、このようなインフレ懸念に対する中央銀行(FRB)の金融引締めの継続をマーケットが「織り込む」ことによって生じているというのが一般的な認識である。

つまり、最近の米国経済は景気過熱からインフレ懸念が台頭し、まもなく景気はピークアウトし、来年前半のどこかで下手をすればリセッション(景気後退局面)入りする懸念もある、というのが大勢の意見になりつつある。

この認識は、米国はいまだに「長期停滞」の中にあり、成長トレンドはリーマンショック後の低水準(前述のように年率で+1.9%程度)のままであるという議論が前提となっている。「長期停滞論」は、米国の著名経済学者の間ではコンセンサスであるので、ネームバリューだけでこれに乗っかっている人も多く存在するのではなかろうか。