世界遺産になる前に「奄美・沖縄」について日本人が知るべきこと

その自然の素晴らしさは、まさに異次元
青山 潤三 プロフィール

中琉球と南琉球の根本的差異

沖縄本島は、北海道・本州・四国・九州の4島と北方領土の2島を除くと、日本最大の島です。南北に細長く、北端から南端までは直線距離にしても100kmあまり。東京からだと静岡県、大阪からだと岡山県に達します。

全体としては比較的平らな島で、標高の順位で言うならば南西諸島の中でも12番目に位置します。南半部はおおむね平坦で、標高400mを超す山があるのは北部の国頭地方(与那覇岳503mほか)と、本部半島だけです。後者は大部分が開発されており、古くからの自然環境が残されているのは、米軍施設のある国頭地方の山々(いわゆる「やんばる」と呼ばれる地域にほぼ相当)です。

やんばる(与那覇岳)の原生林(筆者撮影)

本部と国頭の両地域の中間には名護市があり、基地移転問題で注目を浴びている辺野古地域はそのすぐ南東方、大雑把に見れば、北部山地の付け根付近の東岸部に位置しています。

人口は中~南部に集中しています。一方、野生生物(在来種)が多く見られるのは、北東部の国頭地方の周辺です。国頭地方から石川岳付近にかけてまでが、島在来の野生生物の生育地であり、それ以南は平坦な人口密集地ということになります。

この沖縄本島北半部に加えて、奄美群島の徳之島と奄美大島を加えた「中琉球」と呼ばれる地域が、「世界のどこにも姉妹種が存在しない」沖縄固有の生物たちの棲みかです。

 

以前の記事でも述べたように、西表島など「南琉球」の固有生物たちは、「中琉球」の固有生物とは成立の次元が大きく異なります。南琉球の固有生物は、おおむね台湾や中国大陸や東南アジアの集団と種のレベルで共通しています。

むろん、西表島をはじめとした「南琉球」の野生生物の魅力や自然の素晴らしさは「中琉球」に負けていませんが、地史や生物地理からみた生物相の成立時間の単位は大きく異なります。筆者はこれら二つの地域を「沖縄」と一括りで扱うべきではないと考えているほどです(この筆者の見解は、いわゆる教科書的な定説とは大きく異なっていますが、その具体的な検証は「南琉球」の項で行う予定です)。

そのことがほとんどの日本国民に、もしかすると少なからぬ沖縄県民にも伝わっていない要因の一つに、日本の「地図」の急速な劣化を指摘できます。

(つづく)