# 養育費 # 離婚

再婚を隠して養育費をもらい続けた43歳女性の「逆ギレ」と「反撃」

前夫が問い詰めると彼女は…
露木 幸彦 プロフィール

「すべてが馬鹿馬鹿しく思えてきました」

純一郎さんは自嘲気味に言いますが、前妻が「すでに再婚している」という前提で再度、純一郎さんとのLINEのやり取りを読み直すと前妻の言い分は完全な茶番。「養育費を免除しない理由」が通用しないことが浮かび上がってきます。

本来、養育費は格差を埋めるために年収の高い方が低い方へ支払うものです。離婚当初は「前夫>前妻」でしたが、再婚によって逆転。今現在は「前夫<前妻」なのに、前夫が前妻を援助すれば、前夫はますます貧乏に、前妻はますます裕福に。養育費によって格差が広がるようでは本末転倒です。

さらに前妻は決してお金に困っているわけではなく、息子さんを育てるのに十分すぎるほどの実入り(世帯年収1000万円)があるのに「金がない、金がない」と虚勢を張ったのです。実際には養育費なしでも何不自由なく生活できるのに、養育費なしでは生活できないと見せかけるなんて「騙されるほうが悪い」と思っている証でしょう。

さらに息子さんは再婚によって産みの親と育ての親、父親が2人になるという環境の変化によってただでさえ混乱しているのに、前妻は息子さんに恨み節を代弁させたのですから、そのせいで息子さんの混乱に拍車がかかるのは確実です。前妻は事あるごとに「息子のため」と連呼していますが、本当は「自分のため」なのではないかと疑わざるを得ません。

〔photo〕iStock

前妻が弁護士を通じて送ってきた「書面」の中身

「あいつ、どういう神経をしているのか」

純一郎さんは首をかしげるしかありませんでしたが、残念ながら、これが前妻の本当の姿なのです。

ところで過去の判例(神戸家裁姫路支部審判・平成12年9月4日、仙台高裁・昭和37年6月15日など多数)によると、子が再婚相手と養子縁組をした場合、子の扶養義務は実父(純一郎さん)より養父(再婚相手)のほうが優先するという理由で、実父には養育費の負担義務がないという判断を裁判所が示しているようです。

裁判所の公式的な見解と前妻の個人的な意見と、どちらが優先するのかは言わずもがなです。このことを踏まえた上で、純一郎さんは前妻に以下のようなLINEを送ったのです。

「遅かれ早かれ、結果は変わらないんだから、僕としては裁判所で白黒をつけても構わないよ。でも今の旦那さんと再婚したんだったら、そっちの家庭を大事にしたほうがいいんじゃないかな?

少なくとも僕は明日香と関わるつもりもないし、拓海が旦那さんと上手くやっているなら邪魔する気もないよ。きっと明日香も僕と接したくないだろうから、このまま意固地を続けて、ずるずると長引かせて、無駄に傷つけあうより、ちゃんと今、はっきりさせた方がお互いのためなんじゃないかな?」

 

前妻が前述の判例を知っていたかどうか定かではありませんが、少なくとも自主的に再婚の事実を伝え、自ら養育費の受取を辞退するつもりはなく、「再婚したことを隠そう」「バレるまで養育費を払わせよう」と思っていたのは間違いなく、裏を返せば「再婚を隠し通せなくなったら養育費はあきらめないといけない」と腹を括っていたようです。

前妻は「バレちゃあ、しょうがない」という感じで、以下のような手紙を純一郎さんの元へ送りつけてきたのです。

「貴殿がご指摘の通り、明日香氏は再婚し、再婚相手は長男と養子縁組をしました。この場合、長男の扶養義務は第一次的には養親が負うべきものであり、貴殿が支払うべき養育費が免責されることを明日香氏は承知しております」

前妻は馬鹿にしていた前夫に再婚の事実を突き止められたのが、よほど悔しかったのか。プライドが高すぎて、どうしても前夫に頭を下げたくなったのか。それとも前夫の言い分を真に受けずに弁護士に相談したのか分かりませんが、上記の手紙は前妻ではなく代理人の弁護士の名前で送られてきたのです。

平成27年の人口動態統計(厚生労働省)によると夫、妻どちらか一方、もしくは両方が再婚のケースは婚姻全体の26.8%。昭和50年の同統計では12.7%だったので、再婚する男女は40年間で倍に増えたわけです。その結果、純一郎さんのように再婚をきっかけにトラブルに巻き込まれる人も増えるのは目に見えています。「自分には関係ない」と目を背けず、頭の片隅に置いておいたほうが賢明でしょう。

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