女子東大院生が、現代新書編集部を直撃して驚いたこと①

オビは、口ほどにものを言う
現代新書編集部 プロフィール


ナナ 4冊のオビカバーまとめて、1週間足らずで原案を仕上げるデザイナーさんも敏腕ですね! デザインが決まっていく過程、興味あります……。

どういう表紙にしようかな、というイメージは、著者の方に原稿を書いて頂いている間から、徐々に膨らませたり、考えていたりするのでしょうか?

ヨネ 編集者によって考え方はだいぶ違うけれど、オビの文言は、格言・名言のようなシンプルなものが読者にとても響くと僕は思う。だから、その本をたった一言でズバッとまとめられる文言をひねり出すんだけれど……そのためには、その本の中身をしっかりわかっていないといけない。

「これはなんだか強いぞ!」とナナが感じたオビ文

なので、原稿を読みながら、「この一文はオビに使えそうかな」とか、「ここの表現がこの本の一番訴えたいところで、オビに示すべきところかな」とか、付箋や印をつけてチェックしていたりするんだ。

ナナ 本をつくっている過程で、顔をどうつくるかもすでに考えているのですね。うーん、表紙がそれほど熱を入れてつくられているものとは知りませんでした。

……でも思い返せば、これまで書店で「ジャケ買い」しちゃった経験、けっこうあります。

私はわりと直感的にホレっぽいので、ふらふら本屋さんを歩いていてオビが突然目に留まって、「あっ、このフレーズ、やばい! 好き!」って思った次の瞬間には、レジに運んでいる……。

ヨネ 繰り返しになるけど、読者は、まずタイトルと著者、オビを見て、オビ裏を見る。オビ裏は飛ばされるかもしれないけれど、その後、表紙をめくって著者プロフィールなりを見て、「前書き」や「目次」を見る。そのプロセスのどこで買ってもらえるかが、編集者の腕の見せ所ではないだろうか。

書店で読者の行動を観察していると、表紙を見て、裏を見て、そのまま棚に戻す人が大半。著者プロフィールや目次までぱらぱらめくって本文をしっかり読みだすと、「あ、あの人は僕のつくった本を買ってくれそうだ!」と思う。

……新書コーナーで観察をしながら、自分のつくった本を買ってくれる瞬間を待ちわびて、気づいたら1時間経っていたこともあったなぁ。「あ、手に取ってくれた! でもまた棚に戻された、悔しい!」と思いながら(笑)。

やっぱり、太すぎる

ナナ まず本を手に取ってもらう、というところが大切なんですね。

大学の授業や研究では、本の「中身」にあたる部分をしっかり学んで考える訓練はするけれど、本の外側、「見た目」について考える機会って滅多にありません。意識したことのない発想や考え方です。

ヨネ 書店でたくさんの新書がずらっと並んでいる中で埋もれないこと。どんなふうに他書と差異化して、「おっ! これは面白そうだ、自分の役に立ちそうだ」と思わせるかを考える。

ナナ 現代新書のオビは、他の新書のオビに比べると、カラフルだったり、写真を大きく載せたりと、わりと特徴があるように思います。何か現代新書としてオビづくりの方針があったりするのですか?

ヨネ 基本的には担当編集者に任されているから、現代新書としてこうしていこう、というのは特にない……はず。でもあえて言うと、他の新書と比べてオビを太くする場合が多いから、表現の場が広い。つまり、顔がデカい。

ナナ あ! これまで、現代新書のオビってずいぶん太くて、カバーが二重にかかっているみたいだなぁ〜と思っていましたが、他の新書と比べても太いのですよね?

ヨネ 細いオビが昔は多かったけど、最近は太いオビが大半を占めている。カバーの中心に正方形が置かれるデザインだから、オビを太くつくるときは、その正方形スペースとしての「鼻」を使って、ちょっと遊べたりする。それは、中身の表現の場としてとても面白いと思う。

「鼻」は、色々なかたちに変身する

そのうえで。もちろん、その太さを否定するつもりはないんだけど、僕は太いオビにするのがあまり好きではない……それは僕が現代新書の愛読者になった大学生の頃から、好きじゃない。

ナナ えっ、そんな!……でもヨネさんご担当の本にも、太いオビがたくさんあるじゃないですか!

ヨネ うーむ、それはやむなく、仕方なくという側面が大きいんだ。ここからは具体的な既刊本に即して、細いオビと太いオビの差を探究していこうと思うんだけど……そもそもなぜ太いオビがあまり好きではないかというと、僕なりの理由が3つある。

ナナ 3つも……聞かせてください!(ここからが本番⁉ ドキドキ)

ヨネ まずひとつめ。オビ文は人の口が話す言葉のようだとさっき言ったんだけど、かのパスカルがこんな名言を残しているらしい。

「あなたに長い手紙を書いてしまったのは……

(以下、次週に続く!)

「おや?」と目を引くイラストで勝負!