「女性活躍」に足をすくわれる男たちの悲劇〜これは逆差別なのか

これを解決しなければ、成功はない
奥田 祥子 プロフィール

男性の声も生かした女性登用に

「ポジティブ・アクション」は、営業職は大半が男性、管理職に女性は一人もいない、といった職場に存在する固定的な性別による職務分離、差異を是正するものだ。過剰に女性を優遇することで、新たな男女差を生み出すようなことは決してあってはならない。

企業は数合わせの女性登用に走るのではなく、性別にかかわらず、社員の能力や実績を適正に評価したうえで、昇進の機会均等を徹底していくべきである。

そして、女性社員に対しては、入社後早い段階から、将来の管理職昇進も視野に入れた職務配置や人材育成、人事評価へと改善していく必要がある。

とはいえ、女性の管理職が少ない現状では、企業内で「女性活躍」推進の実質的な執行役を任されているのは、ほとんどが男性の管理職である。

 

三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2015 年に公表した「女性管理職の育成・登用に関する調査」(正社員の男女3000人対象)では、管理職に就いている男女に「管理職になろうと思った理由」(複数回答)を尋ねているが、男女で顕著な違いが見られた。

男性が「より高い収入が得られるから」(46.5%)が断トツで多かったのに対し、女性は「自身の知識や経験で、組織に貢献したいと思ったため」(26.6%)のほか、「会社や上司から仕事を評価されたため」(16.5%)、「上司に管理職になるよう説得や励ましを受けたため」(16.5%)が、いずれも男性よりも多い回答だった。

女性は男性に比べ、報酬よりも、上司からの評価や励ましといった働きかけによって管理職を志す傾向があることがわかった。

管理職の男性上司たちは、女性部下を育て、彼女たちが自ら進んで管理職を目指す動機づけを与えていくうえで、重要な役割を担っているといえる。しかし、上記で見てきた通り、「数合わせ」の女性活躍推進は、男性の反発や反感を引き起こしかねない。

そうした男性、女性双方にとっての不幸を避けるため、女性登用を巡る男性社員たちの声を真摯に受け止める必要がある。そして、その声を労働施策や人事制度に反映させていけるかどうかは、「女性活躍」施策の成否を分ける重要なカギともなっているのである。