「女性活躍」に足をすくわれる男たちの悲劇〜これは逆差別なのか

これを解決しなければ、成功はない
奥田 祥子 プロフィール

数合わせの登用が招く“逆差別”

管理職ポスト獲得を目指す男性社員にとっても、「女性活躍」推進の動きは、出世競争において女性を過剰に優遇し、男性を不利な立場に陥れるものとして否定的に捉えられてしまいがちだ。

「これって、“逆差別”以外の何ものでもないですよ。数値目標を達成する数合わせのために、肝心の能力を無視して女性を優遇するなんて、全く納得いかないです」

卸売業の鈴木祐介さん(仮名、39歳)は、「就職氷河期」の厳しい闘いを勝ち抜いて入社し、社内でも競争相手が多いなか、長時間労働にも耐えて懸命に努力し、実績を積み重ねてきた。だが、念願の課長昇進が目の前に迫っていた時、入社年次が1期上の女性社員にポストを奪われてしまった。

「不意討ちをくらいました。ちょうど法律(女性活躍推進法)に従って女性登用の行動計画を立てて、実行に移す時で、子育てしながら仕事を続けていた女性に白羽の矢が立ったんです。子どもがまだ幼く、2、3年前まで時短勤務をしていたような状態で、実績なんてあるわけないじゃないですか」

 

現にその女性課長は就任早々、采配が振れないばかりか、女性部下へのいじめや取引先との商談ミスなどトラブルを連発した。その尻拭いを鈴木さんがする羽目になり、彼自身も以前のように成果を上げることができなくなる。その挙げ句、子会社に出向することになってしまったのだという。

「部長など上には女性課長の問題行動を訴えましたが、聴く耳を持たず、彼女に厳しく指導することもなかった。職場で理不尽なことは経験してきましたが、それも乗り越えて用意周到に管理職目前まできた僕が、こんなところでつまずくなんて……」

鈴木さんも現在の境遇にぼう然と立ちつくしたまま、いまだ先の仕事を考えられずにいるように見えた。彼の話を聞くに、これは決して出世競争に負けたことへの「恨み言」ではない。

景気が回復したとはいえ、人件費を積極的に拡大することには様子見をしている経営者がまだ多く、不況時からの管理職削減の動きから一転してポストが増えるとは考えにくい。

そんな状況下で長時間労働にも耐え、成果を上げるために必死に働いて昇進を狙ってきた男性たちにとって、思いがけない女性登用が自身の昇進を排除しかねない“逆差別”と映ってしまうのは、無理ないのかもしれない。