photo by iStock

「女性活躍」に足をすくわれる男たちの悲劇〜これは逆差別なのか

これを解決しなければ、成功はない

今、時代の潮流となっている「女性活躍」。その大きな一つの柱が、女性の管理職登用であるとされる。政府や企業は、「女性を管理職に!」と勇ましく掛け声をあげるが、そうした声の大きさと裏腹に、現場では様々な混乱が生まれていることをご存知だろうか。

管理職登用に関して、突然の制度変化に戸惑っている女性は少なくないが、困惑しているのは女性だけではない。女性登用の推進役を任された男性管理職や、ポスト獲得を目指して女性と闘う男性の同僚なども、思い煩い、憂うつな日々を送っている。「女性活躍」は男たちの問題でもあるのだ。

突然の改革のシワ寄せを受けている男性をどうするのか――ここまで考えなければ、女性活躍は「絵に描いた餅」に終わってしまう。今回は、そんな男性たちの実態をレポートしよう。

まさかの昇進拒否

「女性部下のためを思って、彼女たちに活躍のチャンスを与えようと頑張ってきたのに、それが自分で自分の首を絞めることになるとは……。女性登用に足をすくわれたようなもんです。とてもやりきれないですよ」

長い沈黙の後、メーカーで専任部長を務める佐藤宏さん(仮名、50歳)は、こう思いの丈を吐き出した。

 

佐藤さんは男性が管理職を独占してきた会社で、コミュニケーション能力や細やかな気配りなど女性に優位性があるとされる能力に注目し、10年以上前から女性総合職の採用増や管理職登用の必要性を上層部に進言してきた。

当初は腰の重かった経営陣も、世の中の流れも相まって次第に理解を示すようになり、今では総合職採用の増加とともに、事務職中心だった女性の職務内容は、企画や営業などへと少しずつ広がっていったという。

〔PHOTO〕iStock

ところが、ようやく初の女性課長を誕生させようという段階に入り、予期せぬ事態が発生してしまうのだ。

「女性部下が管理職昇進を断ってきたのです。そんなこと、全く予想していませんでした。理由を聞いても、『自信がない』の一点張りなんです。狐につままれたような気分でいたら、今度は私自身が……。自分の部署に割り当てられていた女性管理職の数値目標を達成できなかったために、人事考課がガタ落ちし、結局ラインから外されてしまいました」

佐藤さんは、女性部下を育成して課長に昇進させることを、半期ごとに査定が行われる自身の人事考課でも目標に設定していたが、2期連続で未達成となり、査定は最低評価に下落した。それからしばらくして、部長から専任部長へと、実質的に降格した。彼の勤める会社では専任部長は部下のいない管理職に過ぎない。人事から半年経った今も、目の前の現実を受け入れられずにいるようだ。

なぜこうした事態になってしまったのか。佐藤さんの話から推測するに、女性部下に管理職に必要な能力や経験が不足しているにもかかわらず、拙速に事を運んでしまい、「自信がない」と昇進を拒む複雑な事情や心境を十分に理解できていなかった可能性が高い。また、会社が与えたありがたい昇進のチャンスを受け入れるのは当たり前、といった一方的で独善的な面があったかもしれない。