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ドコモが「携帯料金引き下げ」宣言…実際どれだけ安くなるのか

いろいろ考えてみた

安倍政権が携帯電話の料金引き下げを要請する中、最大手のNTTドコモがあっさり4000億円規模の値下げに応じた。収益の低下を懸念した株式市場では携帯3社の株が大量に売られ、1日で時価総額数兆円が吹き飛ぶという異常事態となった。

一方、KDDIは料金を据え置く方針を表明。新規参入の楽天と業務提携するなどドコモとは異なる動きを見せている。携帯電話ビジネスの今後の動きについて探った。

わずか1日で3.5兆円が吹き飛ぶ

NTTドコモは10月31日、来年度の第1四半期に、料金体系を改定するとともに、年間4000億円規模の料金引き下げを実施する方針を明らかにした。利用者のプランや使い方にもよるが、通信料金が2~4割程度下がるとしている。

同社が料金引き下げを決定したのは、言うまでもなく、安倍政権からの要請を受け入れた結果である。

安倍首相は2015年9月に開催された経済財政諮問会議において突如、「携帯料金等の家計負担の軽減は大きな課題である」と発言。料金の引き下げについて検討を行うよう指示した。この発言を受けて、総務省は有識者会議を開催し、具体策の検討を進めたものの議論は発散。実質的に引き下げは行われなかった。

 

ところが今年8月になって菅官房長官が再び携帯電話料金に言及。「4割程度下げる余地がある」と具体的な数字を出して引き下げを迫ったことから業界は騒然となった。

日本の携帯電話料金は自由化されているので、政府に料金を決定する権限はない。現時点における料金の是非はともかくとして、上場企業としてそれなりの抵抗を示すと思われていたが、ドコモがあっさりと、しかも4000億円という数字まで出して引き下げに応じるという予想外の展開となった。

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菅氏は総務相を経験したことがあり、通信行政についてはウラのウラまで知り尽くしていることに加え、近年では珍しい権謀術数タイプの政治家である。失礼ながら、ドコモの現経営陣に菅氏と争う力量があるとは思えないので、あっさり白旗を揚げてしまったのも無理からぬことかもしれない。

4000億円という数字が出てしまった以上、少なくとも値下げの初年度は、その分だけ純粋な減益となる。株式市場はこのニュースに動揺し、1日でドコモの株価は14.7%、KDDIは16.1%もの下落となった。グローバル展開を進め、もはや日本の企業とはいえなくなったソフトバンクは8.1%の下落にとどまっている。ちなみにドコモの株を過半数保有しているNTT本体も14.7%下落している。

3社の時価総額を合わせると、たった1日で3.5兆円の資産が吹き飛んだ計算である(NTTを含めると4.9兆円)。安倍政権は公的年金の株式運用シフトを進めてきたが、運用を担当するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は携帯3社の株式を大量に保有している。今回の一件で、年金積立金の運用にも少なからず影響が及ぶだろう。