Photo by GettyImages

現役とOBで大違いに…! ソニーの「企業年金」を見てわかること

会社が社員の老後を守る時代は終わった

企業が一括で運用する「確定給付年金」から個人の投資がキモになる「確定拠出年金」への移行を決めたソニー。「企業が社員を見捨てた」とも取れる話だが、現実には仕方のない事情も山積している。

会社側の負担は軽くなる

平成最後の年、ソニーが絶好調だ。

'18年3月通期、グループ連結での売上高は約8兆5440億円、営業利益は約7349億円と20年ぶりの最高益を更新。

ソニーの「本丸」でありながら大赤字を垂れ流していた、カメラやテレビなどのエレキ部門は黒字回復し、映画や音楽事業なども劇的に業績を伸ばしている。

「その一方で、『金融会社が片手間に家電製品を取り扱っている』と言わしめるほど、不動産や保険などの金融部門が大きく稼ぎ、今回の華々しい数字が出来上がりました。2012年から経営を握ってきた平井一夫氏の花道を飾った格好です」(ジャーナリストの立石泰則氏)

平井氏から後継者に指名され、2017年4月から社長のイスに座るのは吉田憲一郎氏だ。'18年度の第1四半期決算で吉田社長は「2年連続の最高益更新」を明言した。

日本メーカーのリーディングカンパニーとしての威信を取り戻す「悲願」を叶えようとしている。

そんなソニーが、どうしても達成したいもうひとつの「悲願」があった。それが、自社の「企業年金」の見直しである。

 

現在報じられているのは、エレキ事業の社員約3万人が加入する企業年金のシステムを「確定給付年金」から「確定拠出年金」へ完全に移行するというものだ。

ここで、確定給付年金と確定拠出年金の違いを整理しておこう。確定給付年金は、あらかじめ将来の給付額を確定させ、企業が一括して運用するしくみだ。

かつては年率5.5%、現在では3%前後で運用しているところが多く、社員は会社に任せておくだけで老後の年金の見通しを立てることができた。

「一方、確定拠出年金は企業が掛け金を出し、加入者である社員が自己責任で運用する。定期預金や投信などさまざまな金融商品を組み合わせていき、運用次第では高い利回りで年金給付が受けられます」(ファイナンシャルプランナーの山中伸枝氏)

一度掛け金を設定すると60歳まで引き出せないが、所得税や住民税などに控除を受けられるのがメリットだ。

「確定給付年金の場合、運用に失敗すれば不足分を企業側が補填しなければなりません。逆に確定拠出年金の場合、企業は一定の運営経費を負担するだけなので、経営陣にとっては将来の負担が軽くなる仕組みといえるでしょう」(社会保険労務士の大曲義典氏)