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米国中間選挙…トランプ共和党が勝ったら「米中の未来」はこうなる

習近平はトランプをどう迎え撃つのか

中間選挙後の対中政策

アメリカ時間の11月6日、中間選挙が行われ、ドナルド・トランプ大統領の約2年間の政権運営が問われることになる。それとともに、今後アメリカがアジアをどうしていくつもりなのか、特に中国との「新冷戦」を本格的に進めていくつもりなのかが、われわれアジアに生きる人々にとっては最も気になるところである。

そうしたことはもちろん、中間選挙でのトランプ共和党の勝敗次第で変わってくるだろう。

2年前の大番狂わせの大統領選と同様のトランプ勝利、すなわち上院も下院も共和党が制した場合、トランプ大統領の再選が見えてくる。そうなると、トランプ大統領は強権を手にすることになり、政策に余裕ができてくる。

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この場合、今月下旬にブエノスアイレスで開かれるG20(主要国・地域)首脳会議の際に行われる米中首脳会談で、中国側が大幅な譲歩案を提示し、いわばトランプ大統領に頭を下げる形で、貿易戦争を終結させようとするのではないか。トランプ政権が8年政権になると思えば、中国は強気に出られないからだ。

逆に、上院も下院もトランプ共和党が過半数を占められず敗北した場合、トランプ大統領はレイムダック化し、2年後の再選はおぼつかなくなる。そうなれば、中国の方がアメリカに強気に出やすい立場になる。中国としては、トランプ政権に対しては毅然と構えておき、次の政権に備えるということだ。

 

一番難しいのが、トランプ大統領が1勝1敗となる、すなわち上院は共和党が過半数を占め、下院は民主党が過半数を占めるケースである。その場合、トランプ大統領としては、2年後の再選を目指す芽はあるが、もう一波乱起こして成果を得ないといけない。そのため、中国に対しては、いま以上に強硬になっていく可能性が高い。

だが中国としても、2年後にトランプ大統領が再選するかどうか不明なわけだから、民主党にも片足を突っ込むことになり、トランプ政権に大きく妥協する必要はないと考える。そのため、今月末の米中首脳会談では、そこそこの譲歩案を示し、アメリカの中国攻撃が小休止するくらいの処置を取るのではないか。

いずれにしても、中間選挙後のトランプ政権の対中政策を見る時、当面の注目点は、ジェームズ・マティス国防長官の去就だと私は考えている。

トランプ政権内の意見対立

過去2年近くの波乱と混乱に満ちたトランプ政権にあって、「政権の良心」と言えたのが、マティス国防長官だった。トランプ政権が発足した翌月の昨年2月に来日し、安倍晋三首相や稲田朋美防衛相(当時)と会談したが、常に正論を吐くこの独身主義者の振る舞いは、日本に安心感を与えたものだ。

周知のように昨年は、アメリカと北朝鮮が一触即発となった一年だったが、米朝戦争やアメリカ軍による北朝鮮空爆という「有事」を回避できたのは、マティス長官の「存在感」が大きかった。マティス長官は一貫して、アメリカによる北朝鮮への武力行使は時期尚早であるとして、逸る大統領や周辺の強硬派に「待った」をかけ続けた。有事になれば、在韓米軍や在韓アメリカ人に多大な犠牲が出る可能性が高まるからだ。

「圧力はよいが戦争はよくない」――マティス国防長官の対北朝鮮政策は、最終的にはトランプ大統領の意見と一致した。

何事も利害得失で判断するトランプ大統領は、北朝鮮と戦争すれば必勝は間違いないが、アメリカ人の犠牲が多く出れば、中間選挙に敗れ、再選も不可能になることを悟ったのだ。

そもそも米朝は国交さえないので、北朝鮮にいくら制裁をかけても、アメリカ経済とは関係ない。要はトランプ流に言えば、北朝鮮との争いは「利益を生むビジネス」ではなかったのだ。