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「丸の内のたそがれ」から大改革!三菱地所会長の経営哲学

大塚英樹の「成功するトップ」⑥
大塚英樹

国際金融センターへ着々と手を打った

かつて、「丸の内のたそがれ」といわれた時期がある。

1990年代に丸の内地域のオフィスビルはビルの老朽化で、大手企業が次々と離れていった。その手痛い経験から、「オフィスビルには時代の変化に応じた新たな機能が求められる」という考え方が全社に浸透していく。  

それだけに、杉山にはビジョンの実現に確信があった。

丸の内地域には世界的トップ企業16社、上場企業の本社約100社(会社四季報より)、就業者数約28万人が集積している。ニューヨークと並ぶ世界有数の企業集積があるビジネス街だ。

 

これを生かし、大企業との連携機会を訴求するベンチャー企業を誘致すれば、賃貸事業の強化は無論、協業によるテナントサービス事業の拡大も図れると考えた。  

早速、杉山は、丸の内地域をアジアの国際金融センターにするための舞台づくりに取り組んだ。多様な人々がビジネスチャンスを求めて丸の内地域に集まるようにしなければならない。  

杉山は、国際金融人材育成のための会議室とラウンジを併設する「東京金融ビレッジ」を開設した。

さらに、先端技術の開発を目指すベンチャーや日本への進出を図る外国企業の受け皿となる「グローバルビジネスハブ東京」、金融とITを組み合わせた「フィンテック」を行う日本初のフィンテック拠点「FINOLAB(フィノラボ)」を設置する。オフィスの売りものにした。  

その結果、丸の内地域に保有する約30棟のビルの空き室率は2・42%(2017年3月現在)とほぼ満室となっている。  

さらに、杉山は東京駅日本橋口前に、国際金融センターのシンボルとなるべく、高さ日本一(約390メートル)の超高層ビルを2027年度に完成させるプロジェクトを推進している。  

杉山の丸の内地域の革新的街づくり手法は、アジアを含む全世界の「街づくり」の成功モデルとなっている。