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なぜトランプは「LGBT排除」にここまで注力するのか

まずはトランスジェンダーが標的に…

「トランスジェンダー否定」の衝撃

10月21日、トランプ政権が、性別を狭く定義する方向で検討を進めていると、ニューヨークタイムズ紙が報じた。その定義とは、「出生時の性器によって決定される生物学的で変更不可能なもの」というものだという。

この定義は、出生時に振り分けられた性別と異なる性別アイデンティティを持ち、その性別で生活している(していこうとする)トランスジェンダーの人たちの性別のあり様を政府としては認めないことを意味する。

この報道はすぐに反響を呼び、トランスジェンダーの人々と、その人権を守るために連帯する人々が、「#WontBeErased (私たちは消されない)」というハッシュタグを用いて、ツイッターなどのSNSで抗議する動きが起きた。この抗議には歌手のレディー・ガガさんなどの有名人も参加し、国を越えて声があがっている。

報道の翌日、トランプ大統領は、報道の内容が事実であることを認め、「現在、多くの異なる考え方があり、トランスジェンダーの尊重に関して多くの異なることが生じている」と語った。

そして、大統領選挙運動中に述べた「LGBTのコミュニティを守る」という約束との関係について尋ねられると、「私は、皆を守る。私は、私たちの国を守りたい」と述べている。

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だが、この性別の狭義化、固定化は、国際社会における性別に関する人権保護の流れに反すると同時に、米国内の具体的な政策で言えば、まず、オバマ政権下で進められた医療、学校などでのトランスジェンダーの人たちの権利を反故にするものである。

そして、トランプ政権下でトランスジェンダーを主なターゲットとしながら、LGBTを排除していく一連の流れの中にある。

 

米国保健福祉省はこう動いてきた

まず、この性別の狭義化へ向かう動きそのものが、トランプ大統領が就任後すぐに始まっていたと言える。

今回のニューヨークタイムズの記事は、独自に入手した記録に基づき、米国保健福祉省(the Department of Health and Human Services)が、タイトルナイン(Title IX)における性別の定義を法的に確立する急先鋒となっていることを指摘しており、性別の狭義化もその中に位置づけている。

タイトルナインとは、1972年に成立した、連邦政府から援助を受ける教育プログラムや活動で性別による差別を禁止した連邦公民権法である。

オバマ政権下で、トランスジェンダーの学生も、この法律に基づき保護されるというガイドラインが出されており、それにより、トランスジェンダーの学生が、生活している性別に合わせてトイレを使える後ろ盾となった。