中国ネット民も驚いた、中国反日言論「安倍訪中で手のひら返し」

政府の方針なのかタカ派紙が急転回…
古畑 康雄 プロフィール

「割れてしまった鏡は戻らない」

程担という筆者による「正常へと向かう中日関係 右も得意にならず、左も気落ちするな」という文章では、次のように論じている。

「中日関係が7年間の曲折を経て、ようやく正常へと向かった。これは非常に喜ぶべきことだ。自分と同様に極端なナショナリズムに反対し、中日友好を期待していた人びとは非常に得意になっている。彼らは、中日関係が本来の姿を取り戻し、中国国民が中日関係に関する多くの真実を知ったことを喜び、これらの真実(中国への政府開発援助=ODAの実態が公にされたことなどを指すとみられる=筆者注)がここ10年来高まった極端なナショナリズムやポピュリズムを押さえ込み、人びとが正常な思考に戻ることを望んでいる。」

「一方で左派のいわゆる愛国者は、日本や日本の指導者を悪魔呼ばわりすることが突然制限されて、鬱憤がたまっているだろう。」

だが、「右派(リベラル派)も得意になってはいけないし、左派も気落ちしてはいけない。中日関係が正常に戻るのは簡単なことではない、まさに割れてしまった鏡をつなぎ合わせても、亀裂をなくすことができないのと同様だ。

中日関係が正常化しても、直ちに民間のわだかまりを消し去ることはできず、1980年代のような中日の蜜月時代へ戻ることは不可能で、将来再び(対立が)繰り返される可能性を排除できないからだ」――筆者はこのように述べているが、極めて客観的で冷静な分析だと思う。

文章はさらに、安倍首相の訪中が中日の新たな関係の基礎を作ったのは、中国メディアが宣伝するような、中国がいかに安倍首相を熱烈歓迎したかでも、両国がいかに多くの経済協力協定にサインしたかでもなく、中国がこれまで対立していた重大な問題で、これまでのやり方を徹底的に変えたからだ」と指摘。

具体的には、(1)中国は歴史問題をしつこく持ち出すことはしなくなった、(2)中国は釣魚島(尖閣諸島)の主権紛争にこだわるのではなく、鄧小平が提唱した争いを棚上げする外交政策に戻った――以上の2点を挙げ、「中国が最大の誠意を示したことで、中日関係が正常な道へと戻り、今日のウィン・ウィンの関係が実現したのだ」としている。

だが中日関係は常に日米同盟や米中関係の影響を受けているとして、南シナ海や台湾など「中国にとって切実な利益に関わる問題」で、米中間が対立した場合、日本はどちらにつくか選ばざるを得なくなるとして、その結果中日関係が大きなダメージを受ける恐れがあるとした。

 

「米中対立ない限り日中も安定」

ただ米中の貿易摩擦で、米国は日本にどちらにつくか選べとは言わないだろうし、日本も中国市場を捨てることはないとして、要は「中国が南シナ海や台湾などの問題で米国と対立しない限り、中日関係は正常な関係として、平等でお互いに利益のある経済貿易のつながりを維持し、これまでのような反目には戻らないだろう」と強調。

そして「ネット上で『精日』についての言論を発表しただけで捕まったり、一部の人が日本を恨む言論を堂々と発表したりすることがなければ、日本の民衆は中国への印象を徐々に変えるだろう。

中国の6割近い反日感情を持つ人々も、中日関係が正常化すれば、大多数は徐々に日本への態度を変えるだろう。中国の大衆はメディアの宣伝を信じるからだ」と結んだ。

米中間の摩擦が激化しない限り、日中関係も安定した関係が維持できるだろうとしているが、まさにそうあることを望みたい。

自由派論客の栄剣氏も10月24日、「中国外交の苦境と『東アジアの突破』 カギは中日関係を再び正常化することに」という文章を発表、栄氏によれば、微博での閲覧数は30万近くに達し「多くは好意的な評価だった」という。