やがて始まる「マンション価格下落のタイミング」はこう見抜け

エコノミスト兼個人投資家の独自手法
竹中 正治 プロフィール

株価下落の半年後、マンション価格も下落

マンション価格の先行きに関するもうひとつの手掛かりは、価格指数の時系列分析から得られる。手短に言うと、マンション価格指数の前年同期比の変化は、1)賃料指数、2)株価指数(日経平均)、3)長期金利(10年物国債利回り)の各前年比の変化の3つの変数で回帰分析すると、有意な結果が得られる(説明度を示す決定係数R2=0.49 期間2002-18)。

この回帰分析から得られるポイントは、株価(日経平均)はマンション価格指数の変化(前年同期比)に対して約6ヵ月の先行性があることだ。つまり株価が大きく上がれば(下がれば)、約6ヵ月遅れて東京の中古マンション価格は上がる(下がる)ということだ。

なぜマンション価格と株価の間に正の相関が生じるのか。双方とも景気動向を反映して変動していることが基調にあるが、同時に資産としての代替性があるからだろう。株価の上昇でキャピタルゲインを得た人達が、資産を株式よりは変動性の低いマンションにシフトするケースも多い。

また、なぜマンション価格の変化が株価の変化に約6ヵ月遅れるかと言うと、流動性の違いだろう。流動性の高い株価は投資家の先行き予想の変化で極めて短期で変化するが、実物の不動産としてのマンションは相対的に流動性が低く、売買に時間がかかる。

 

買うのは次の不況まで待て

以上まとめると、今後マンションの購入を考えている方は、次の景気後退時まで待ちなさいということになる。

次の景気後退はいつか。私は次の米国の景気後退は2020年前後1年に始まると予想しており、日本もそれに連れて景気後退となるだろう。もしかしたら後に振り返って「米中冷戦不況」と呼ばれるような局面の初期段階に既に差しかかっているのかもしれない。慌てる必要はない。それまで気長に待てば良いのだ。

最後に一言アドバイスしておこう。まず現在は賃貸で暮らしており、将来マンションの購入を考えている方は、毎月払う賃料が無駄な支出に思えて、買い急ぐ傾向が見られる。これは現金収支だけで判断する非合理的な行動だ。

マンションを買えば賃料支払いはなくなるが、買ったマンションは経年劣化し、住宅ローンには支払い金利のコストが生じる。

仮に5000万円のマンションを1000万円の自己資金と4000万円の住宅ローン(金利1%)で買った場合、経年劣化による資産価値の減少を年率3%とすれば、資産価値の減少は年間150万円、支払い利息は40万円(初年度)、合計190万円と賃料とさほど変わらないほどのコストが生じる。

しかも現在は図表1で示した通り、住宅賃料に比較してマンション価格が割高になっている局面なのだ。

そして資産形成のために投資目的でマンション購入を考えている未経験者の方には、新築のワンルーム・マンションは見合わない投資になるケースが圧倒的なので、「やめておきなさい」とだけ申し上げておこう。