やがて始まる「マンション価格下落のタイミング」はこう見抜け

エコノミスト兼個人投資家の独自手法
竹中 正治 プロフィール

東京を見れば首都圏全体が分かる

そこで価格指数を賃料指数で割ったPRRを計算し、その長期的な平均値からの乖離を見れば、マンション価格の割高・割安が見抜ける。

このことに気が付いたのは米国勤務時代の2006年頃、米国の住宅価格はもうバブルではないかと調査レポートなどを読んでいた際に、米国の住宅価格指数を賃料指数で割った図表を見た時である。 

まとめると、1)ブーム、あるいはバブルの時:PRRは長期的な平均値から上方に乖離する、2)不況、あるいはバブル崩壊時:PRRは長期的な平均値から下方に乖離する。こういう仕組みで、PRRが長期平均値から下方乖離した時が買い時、上方乖離した時は売り時というシグナルになる。

私がマンション投資を始めたのは1998年であるが、この図表の作成、継続的なモニターを始めた2007年以降は、ほぼこのPRRの波に従ってマンションの売買を行ってきた。

つまり2007年は売り、09年は買い、2012年は再び買い、2015~17年は売りである。

最多時には7戸のマンション(区分所有)を保有していたが、現在はローンの返済を終えた4つのマンションを残して後は売り、キャッシュ残高を膨らませて次の買い時を待っている。図表1は時々更新して私のホームページで公開している。

図表1は東京のマンションと賃料を対象にしているが、神奈川、千葉、埼玉、あるいは首都圏全体と東京の各マンション価格指数の相関度は非常に高く、前年比の変化の相関係数はおおむね0.9を超える。

だから東京の市況を見ていれば概況はつかめる。また、市況的に買い頃だと言っても、業者のカモにされないために価格はきちんと点検、値踏みして買うことが必要だ。

 

5年続きの価格上昇は最終局面へ

ただしPRRは割高・割安程度のシグナルにはなるが、価格がいつ下落や上昇に転じるかは分からない。マンション市況の転換を一歩早く知るような仕掛けは可能だろうか。

そのひとつは図表2である。これは上記のマンション価格指数と、公益財団法人・東日本不動産流通機構のサイト、レインズタワーが公表している中古マンション(東京)の在庫件数と月次成約件数で作ったグラフだ。 

図表2

見て分かる通り、マンション価格指数の前年同月比の変化は、在庫件数を月次の成約件数で割った比率(12か月移動平均値、図表上、左の逆メモリ)と高い負の相関関係がある(ゼロから±1.0までの値をとる相関係数で-0.88)。

図表2では双方の連動性がわかりやすいように在庫件数/成約件数比率を逆メモリにして表示した。つまりマンションの需給が需要超過になると成約件数に比較して在庫が減り、価格は上昇する。逆に供給超過になると在庫件数が成約件数に対比して増え、価格は下がる。

米国でも2007年にサブプライム危機として住宅価格の急落が始まる前年の2006年に住宅在庫の大きな積み上がりが見られた。

現在の状況は、在庫件数/成約件数比率が2005年以来の平均値(黄色の破線)を少し上回り始めた(逆メモリなので図表上は下がっている)状況にある。それに連れて、2013年以降前年同月比でプラスだった価格指数の伸びがゼロ%近傍に下がってきている。2013年以来のマンション価格の上昇局面は最終局面に差しかかっているように思える。